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台風15号 父島は3度、眼の中に

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風15号の進路予想図(1日午後3時現在)

 台風15号は強い勢力を保ち、2日から3日にかけて関東地方の東海上を通過する見通し。父島が暴風域に入って、2日が過ぎた。台風が複雑な動きをしたため、父島は3度、台風の眼に入ったようだ。

台風15号 強い勢力で北上

 台風15号が発生して4日が経ちました。これまで発達のペースはゆっくりでしたが、31日(木)夜に強い勢力となりました。

 発達したらせん状の雲バンドが台風の中心を取り囲み、雲の様子からも発達していることがうかがえます。台風は今後も、海面水温が高い海域を進むため、強い勢力を保つ見通しです。

台風15号の雲(1日正午,ひまわり8号)
台風15号の雲(1日正午,ひまわり8号)

 これまで小笠原諸島に留まっていた台風ですが、2日(土)以降はスピードを速めて、3日(日)にかけて日本の東海上を北上するでしょう。関東の東海上を通過するのは2日夜から3日朝にかけてとなりそうです。

 関東地方では台風と高気圧の間で、気圧の傾きが急になるため、東京都、千葉県、神奈川県、茨城県を中心に北寄りの風が非常に強く吹くでしょう。海岸では波も高く、週末のレジャーは十分な注意が必要です。

父島は3度、台風の眼の中に

 小笠原諸島の父島が暴風域に入って、2日が過ぎました。こちらは父島の平均風速をグラフにしたものです。1日午前4時41分、最大瞬間風速39.8メートル(南南西の風)を観測しました。

【父島】平均風速の推移グラフ(30日12時-1日12時)
【父島】平均風速の推移グラフ(30日12時-1日12時)

 風の変化を観察すると、風速が弱くなっているところがあります。最初は30日の午後6時頃、2度目は31日午後4時頃、3度目は1日午前10時頃です。台風が小笠原諸島で複雑な動きをしたため、父島は3度、台風の眼に入ったようです。

 さらに、風の強さに注目すると、風が弱くなった時間(10メートル以下)が2度目は3時間でしたが、3度目は4時間と長くなっています。あくまで推測に過ぎませんが、台風の眼の大きさを示しているのかもしれません。

台風の眼に入ると?

 台風の眼の大きさは直径20キロから200キロくらいで、初めは大きく、だんだん小さくなって、再び大きくなります。台風の眼を観察すると、台風がどのくらい発達しているのかがわかります。

 台風の眼のなかは風が弱く、青空が見えることもあると聞きますが、本当はどうなのでしょう?

 沖縄で長く気象キャスターを務めていた崎濱綾子さんにうかがったところ、台風がいることを忘れてしまうくらい、穏やかな天気になるそうです。ただ、時間にして30分程度、長いときでも2、3時間。吹き返しの暴風が吹きだす前に、急いで用事を済ませるそうです。

 父島では2日も、台風の影響が続くでしょう。すでに、降り始めからの雨量は370.5ミリ(1日午後4時まで)に達し、この時期1か月に降る雨の約3倍に達しています。今年の春まで記録的な渇水だったのが、一転して豪雨に。自然には頃合いがないのでしょうか。

【参考資料】

西村修司,2005:衛星画像を用いた台風解析,第39回夏季大学 新しい気象学「台風・集中豪雨」テキスト,日本気象学会,69-87.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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