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【NHL】北京オリンピック不参加は、Yesか?Noか?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ボストン・ブルーインズのブラッド・マーシャンド選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

12月28日(現地時間)に6日間の中断を経て再開したNHLですが、さらに3試合が延期となり、延期された試合は70試合に!

未だ、新型コロナウィルスの影響が続いています。

32チームのうち、7チームがカナダをホームタウンとしているNHL。

アメリカより厳しいルールで試合開催をしているカナダでは、アリーナの定員の50%を上限にして、試合を開催しなければなりません。

このように、試合開催への影響が続いている中で、北京オリンピックを欠場するNHLの決定に対して意見する選手が出てきました。

ボストン・ブルーインズのブラッド・マーシャンド(カナダ国籍)です。

マーシャンドは、身長175センチという小柄な体格にもかかわらず、毎年コンスタントに30ゴールを決めるポイントゲッターとして、NHLを代表する選手の一人です。

▼選手個人に選択する権利を

マーシャンドは、オリンピックの不参加に関して、このように話しています。

「NHLは、オリンピックを気にしていない。オリンピックでは稼げないからだと思う。でも、(NHLの試合を欠場することで)自分の給与を削られても構わない。それでもオリンピックに行きたい選手はいると思う。選手個人にオリンピックに出場するかどうかの選択権を与えてほしい」

マーシャンドと同じチームでプレーする、パトリス・バージェロン(カナダ国籍)も、「選択権が与えられたなら、オリンピックに出場したいと思う。残念だ」と話しています。

カナダ代表として、U20世界ジュニア選手権や、シニアの世界選手権、さらに、ワールドカップなど、主要な大会で金メダルを獲得してきたマーシャンドですが、オリンピックに参加したことはありません。次回のイタリアでのオリンピックの時は、37歳になります。

▼NHLはコロナに対する検査基準が厳しい

マーシャンドは、コロナに対するNHLの検査基準が、北米の他のプロスポーツよりも厳しいと、考えています。

NHLは、28日のシーズン再開時から、新型コロナの検査基準を強化。

症状の有無にかかわらず、試合前の検査を実施していましたが、さらに、試合のない日も検査するとしています。

それに対して、NBA(バスケット)やNFL(アメリカン・フットボール)は、無症状の場合の検査基準を緩め始めています。

「選手は、ワクチン接種を受けている。元気であれば、プレーできない理由はない。プレーせずに部屋にいることは悲しいことだ」

この検査基準の厳しさに関しては、他のNHL選手からも同様の意見が多く出ています。

▼オリンピック出場のリスクも

現在、NHLでは、コロナ感染の疑いで欠場している選手が100人を超え、その数は増える一方です。

もしも、北京オリンピックに出場した場合、検査で陽性となると、中国で5週間隔離され、NHLの試合に出られないことになります。

また、北京オリンピックの試合中にケガをする可能性もあり、その場合にも、その後のNHLの試合に出られないことになります。

北京オリンピックから戻った選手が、このような理由で、数週間または数か月の間、試合に出られないとなると、チームの勝敗を左右するだけでなく、チケットの売り上げなどにも悪影響を及ぼし、リーグ自体の人気回復を遅らせてしまう可能性があることも事実なのです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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