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【アイスホッケー】廃部が決定した日本製紙クレインズが最強チームに挑む! 勝利のカギは「先手必勝」!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ケビン・コンスタンチン(Courtesy:@Sportsnet650)

 アジアリーグ アイスホッケーのプレーオフは、明日からセミファイナルが始まります。

 16日から始まったファーストラウンドでは、昨年末に今季限りでの廃部を発表した日本製紙クレインズ(レギュラーシーズン4位)が、初戦で王子イーグルス(同5位)に敗れながら、第2戦、第3戦と連勝し、レギュラーシーズンの上位3チームが待ち受けるセミファイナルへ勝ち上がりました!

▼ベストオブ5でファイナル進出を争う

 ファーストラウンドは、「ベストオブ3(=3回戦制・2戦先勝方式)」で行われましたが、セミファイナルとファイナルは、「ベストオブ5(=5回戦制・3戦先勝方式)」によって勝者を決します。

 また、ファーストラウンドは、レギュラーシーズンの上位チームが、全ての試合をホームアリーナで戦うことができましたが、セミファイナルとファイナルでは、第1戦と第2戦は、下位チームのホームアリーナで開催し、第3戦以降は会場を移して、上位チームのホームアリーナで行います。

 そのため、上位チームは第1戦、第2戦で連敗を喫して土俵際に追い詰められても、ホームアリーナに戻って戦うことができるのです。

▼クレインズはアジア最強チームと対戦!

 ファーストラウンドで粘り腰を見せ、長年のライバルであるイーグルスを倒してセミファイナルに勝ち上がったクレインズは、韓国のデミョン キラーホエールズを、日本製紙アイスアリーナ(北海道釧路市)に迎えて、明日(第1戦)と明後日(第2戦)の試合に挑みます。

 釧路に乗り込んでくるキラーホエールズは、一昨季に新規加盟したチーム。

 多くの航空便が発着している仁川(インチョン)国際空港に近いソンハク アイスリンクをホームアリーナとしています。

 アジアリーグ加盟を目的にチームを創設し、一昨季から参戦しているキラーホエールズは、初年度に8位(全9チーム)となってしまったことから、チームの強化に注力。

 翌年(昨季)こそ、あと一歩及ばず、プレーオフ進出を逃してしまいましたが(6位)、今季は二度の5連勝を記録するなどして、34試合に及ぶレギュラーシーズンを1位で戦い終えた”アジア最強チーム”です!

▼チームを率いるのは元NHLのヘッドコーチ

 キラーホエールズを率いるのは、ケビン・コンスタンチン ヘッドコーチ(HC・60歳/タイトル写真)

 27歳の若さで指導者に転じ、アメリカのジュニア代表などをコーチしたあと、サンノゼ シャークス、ピッツバーグ ペンギンズ、ニュージャージー デビルスと、NHLチームのHCを担ったキャリアを誇ります。

▼就任1年目はプレーオフに進めず…

 ところが、そんな名将もアジアリーグは勝手が違ったのか、就任1年目はプレーオフに進めず…。

 

 そのため、韓国メディアが開幕前に報じていたところによると、今季は捲土重来を期そうと「昨季よりも守りへの意識を高めるように」との方針を伝えて、2年目に臨んだとのこと。

 もっとも、それもそのはずで、キラーホエールズには、昨季の得点王の鈴木雄大(ゆうた・29歳)や、リーグ創設以来初めての三冠王(得点、アシスト、ポイントいずれも1位)に輝いた実績を誇るマイケル・スウィフト(31歳)らを筆頭にオフェンスの核が居並ぶところに、今季から元NHLプレーヤーのアレクサンダー・フロロフ(36歳)が加わり、名だたるFWが揃っていたからです。

▼新たな守護神が首位へ導く

 その一方で、守りの要となるGKは、KHLで長くプレーしていた アレクセイ・イワノフ(30歳)に白羽の矢を立て契約。

 大きな期待を受けた新たな守護神は、最優秀セーブ率GK賞(=100本のシュートを受けた際に何本セーブしたかのアベレージ第1位)に輝く大活躍を見せ、MVPを受賞。

 イワノフの活躍で尻上がりに調子を上げていったキラーホエールズは、終盤の10試合を8勝2敗で戦い終え、レギュラーシーズン首位のチームに与えられるリーダーズフラッグを勝ち取りました。

▼勝利の方程式は「先行逃げ切り」

 このように守護神の働きによって、「先行逃げ切り」という勝利の方程式を構築したキラーホエールズ。

 レギュラーシーズンの戦いを数字で振り返ると、全34試合のうち第2ピリオド終了時点(=アイスホッケーの試合は20分間のピリオドを3回戦った合計得点で勝敗を決める)で、リードしていた「19試合」の勝敗を見ると、「17勝2敗」

 敗れた2試合も、オーバータイムまで戦っても決着がつかず、ゲームウイニングショット(=シュートアウト/サッカーのPK戦に相当)まで戦っての敗戦で、勝点1ポイントを得ています。

 それだけに、今季の最強チームと対するクレインズの勝利のカギは、ズバリ「先手必勝」!!

 先制点を奪われ相手のペースに持ち込まれることなく、先手必勝でアジア最強チームを倒し、ファイナルへ勝ち上がることができるか!?

 明日の17時に、セミファイナルの戦いの幕が切って落とされます。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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