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【アイスホッケー】日本製紙クレインズ廃部決定会見でのコメント要旨~まとめ~

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
10季前に西武を下して優勝したクレインズ(Photo:Tomoki Otani)

<会見出席者>

・安永敦美 オーナー兼代表

・中田和宏 顧問

・佐々木博明 アイスホッケー部長

▼廃部決定報告

安永オーナー

 「チームの活動は来年3月末をもって全て終了します。”氷都”釧路を本拠地とするチームとして69年目(十條製紙釧路工場アイスホッケー部として創設)になりますが、皆様の声援を受けて戦ってきました。応援してくださった全ての皆様に、お礼を申し上げます」

▼廃部の理由は?

安永オーナー

 「日本製紙は印刷用紙を主体に製造していますが、昨今の紙の需要低迷によって経営環境は極めて厳しく、その中でクレインズの運営を続けていくことができないと判断しました」

▼廃部が決定したのは?

安永オーナー

 「5月末の時点では存続の方針でしたが、会社全体の収益に加え、釧路工場の収益の状況も厳しく、今後ますます厳しい状況が予想されますので、先月末の取締り役会などを踏まえ、申し訳ないですけれど、経営者としての判断を下さなければなりませんでした。最終的な決定は11日の経営執行会議でした」

▼通達した時期

安永オーナー

 「(今月14日~16日に開催された)全日本選手権の前に、監督やマネージャーらに話をしました。選手たちには18日(会見前日)に、(釧路工場の)社員たちには19日(会見当日朝)に説明をしました」

▼今後の見通しは?

安永オーナー

 「現時点では白紙です。願わくば今のチームを(チームごと)受け入れていただけないか、全力で探す所存です。(日本製紙の)社員選手17人(加えて来季から加入内定1人)にも希望を聞いて、できるだけ叶えてあげたいです」

▼再検討の可能性は?

安永オーナー

 「ファンの方や市民の皆さんから存続の要望があると思います。他の(日本からアジアリーグに参戦している)チームとともに、国内のアイスホッケーをけん引し続けてきた自負もありますが、本業に元気がないのにスポーツチームを持ち続けることは難しいです」

▼クレインズへの想いは?

安永オーナー

 「私は十條製紙(日本製紙クレインズ創設時の親会社名)の出身で、2年半前に釧路へ赴任してから一ファンになって応援してきましたが、素晴らしい選手とスタッフを擁する本当に素晴らしいチームです。釧路の人たちに育てていただいたチームだと思っていて、強いだけでなく、愛されるチームを目指し、社会貢献活動や小学生たちの見守り活動も行ってきました。

 アジアリーグが創設してからは、成長して勝ち続けるチームになってきましたし、多くの日本代表選手も出てきました。

 これから本当に強いクレインズが見られると思っていたので、非常に残念です」

▼元優勝監督の想いは?

佐々木部長

 「以前はオフシーズンに(社員採用の選手が)会社の業務だけしかしていませんでしたが、近年は地域や社会への貢献にも取り組むことで、選手たちも成長したと感じていました。

 しかし、その一方で、アジアリーグになってからは海外遠征も多くなり、活動費の削減に取り組んできました。

 今季も昨季より選手の数を削減(昨季の25人から今季は24人)したり、選手が使用する防具もメーカーを統一したり、遠征先のホテルのグレードを下げたりして、活動費の削減に努めてきました」

▼一番の思い出は?

佐々木部長(十條製紙時代から選手、コーチ、監督、新人のスカウトなどを歴任)

 「5季前(2013-14シーズン)に全日本選手権とアジアリーグの二冠制覇を釧路で達成した試合です。お客さんの数もリンクレコードを更新しました。

 近年はスカウティング(新人選手の補強)が順調に進んでいたので、もっともっと強くなったクレインズを、見ていただきたかった想いがあります」

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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