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【アイスホッケー】ロシアの名門・チェスカモスクワがNHLチームとの試合を熱望! しかし最大の壁は…?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ロシアンファイブ(Courtesy:@EmbassyofRussia)

 北米のNHLと、ヨーロッパ(中国からも1チーム加盟)のKHL

 誰もが認めるアイスホッケー界の”二大リーグ”を沸かせた男たちの試合が、今冬に計画されています!

▼発信源はチェスカモスクワ

 ニュースの発信源は、KHLの前身である旧ソビエトリーグで13連覇を達成するなどして、屈指の名門と呼ばれる チェスカ モスクワ

 1946年に設立したチェスカからは、多くの名選手が生まれました。

ウラジミール・クルトフ(故人/最後の在籍チーム=スウェーデン・ブルンフロ)

イゴー・ラリオノフ(57才/最後の在籍チーム=ブルンフロ)

セルゲイ・マカロフ(60才/最後の在籍チーム=NHL・サンノゼ シャークス)

 なかでも上記の3人のFWは、華麗なパスワークから次々と得点をもたらし、「KLMライン」(=3人の頭文字から命名)との異名をとったほど!

 さらにDFへ目を転じると、

ヴャチェスラフ・フェチソフ(60才/最後の在籍チーム=チェスカ)

アレクセイ・カサトノフ(59才/最後の在籍チーム=チェスカ)

 この両選手も、NHLや国際アイスホッケー連盟の殿堂入りを果たすなどした、文字どおりの”レジェンド”!

 KLMラインとともに強力なセット(=アイスホッケーの試合では通常FW3人+DF2人のセットでプレーする)を構成し、「ロシアンファイブ」と呼ばれ、対戦相手から恐れられる存在でした。

▼「チェスカ vs NHL」のレジェンドマッチ

 この他にも、一時代を築いた名選手たちがプレーしたロシアの名門・チェスカが、大きなプランを抱いているようです。

 どのようなプランかと言うと、「NHLチームとの対戦!」

 チェスカの前身にあたるチームでプレーをした後、指導者に転身。

 自らがプレーしたチェスカだけでなく、オリンピックや世界選手権でも旧ソビエト代表の指導にも尽力した、故アナトリー・タラソフ(享年76才・下の写真右側)が、12月10日(現地時間)で生誕100年を迎えます。

アナトリー・タラソフ(Courtesy:@CoachChic)
アナトリー・タラソフ(Courtesy:@CoachChic)

 タラソフは旧ソビエト時代の黄金期構築に寄与し、「アイスホッケーの父」と呼ばれている人物。

 KHLのディビジョンの一つが「タラソフ ディビジョン」と名付けられたほどで、正真正銘の”レジェンド”です。

 その功績を称えようと、チェスカは生誕100年を迎えるにあたり、「チェスカOBチーム vs NHLOBチーム」の「レジェンドマッチ」を計画していると、ロシアのメディアが伝えました。

▼現役NHLプレーヤーも称賛

 この報道を知った現役NHLプレーヤーからは、称賛の言葉が聞かれます。

 ウィニペグ ジェッツの主力選手マーク・シャイフリー(FW・25才)が、「もしチャンスがあるなら、一緒にプレーをしてみたいね」と公言するなど、NHLの現役プレーヤーは好意的に受け止めている様子です。

▼最大の壁が・・・

 このような声が聞かれることから、レジェンドマッチの実現へ順調に話が進んでいくかと思われましたが、行く手には最大の壁が立ちはだかっていました。

 その壁とは、他ならぬ「NHL」からの要求!

 ロシアアイスホッケー協会のロマン・ローテンブルグ副会長が明かしたところによると、

「(NHLがフランチャイズとしている)北米での試合開催にあたって、NHLの要求はあまりにも高額だ」

 とのこと。

 金額は明らかにされていませんが、前述したロシアのメディアが、「この要求が最も大きな壁となってしまうだろう」と話していたように、北米のファンがレジェンドマッチに声援を送る姿を見るのは、どうやら難しそうな雲行きです・・・。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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