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【NHL】「タンパベイvsワシントン」カンファレンスファイナルのカギを握るのは、この男しかいない!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ゴード・ドワイヤー(Courtesy:@ScoutingTheRefs)

 NHLのプレーオフは、2つのラウンドを勝ち上がって来た4チームによるカンファレンス ファイナル(CF=3rdラウンド)の戦いが続いています。

 

 東と西のカンファレンスを制して、今季の王座を争うスタンレーカップ ファイナル(SCF)に勝ち進むのは、どのチームか?

 多くのメディアとスポーツファンの視線が集まっています。

▼創設1年目のベガスがファイナル進出に王手!

 「ウィニペグ ジェッツ vs べガス ゴールデンナイツ」の対戦となったウエスタンのCFは、昨夜(現地時間)の第4戦でベガスが接戦を制して、SCF進出へ王手を掛けました!

▼Home SWEET Home!

 ベガスの強みは、何と言っても ホームアドバンテージ!

 上の動画でご覧いただいたとおり、ホームゲームのスタンドは常に超満員となり、選手を後押ししています。

 さらに加えて、戦略面でもホームアドバンテージがあります。

 アイスホッケーの試合では、ビジターチームが先に氷上でプレーをするメンバーを送り込んでから、相手の顔ぶれ(得点力が高い選手が揃う or 守りに長けた選手が多い)や、試合の状況(リードしている or リードされている)などに応じて、ホームチームが後から選ぶことができるのです。

 その利点を武器に、プレーオフに入ってからのホームゲームの成績は「6勝1敗」

 唯一の黒星も、2ndOTまで及んだ末の惜敗だっただけに、T-モバイルアリーナでのホームゲームは、掛け値なしに ”Home SWEET Home”だと言えそうです。

▼Home UNSWEET Home!

 ところが、ベガスのみならず、今季のプレーオフに進んだ全16チームの戦績を見ると、昨夜までに行われた75試合のうち、ホームチームが勝利したのは「35試合」に限られ、勝率は「4割6分7厘」

 数字を見る限り、今季のプレーオフでは、”Home UNSWEET Home!”となってしまっています。

 この現状を見て、身長173cmとサイズに恵まれなかったにもかかわらず、NHLでハート トロフィー(レギュラーシーズンMVP)や、アートロス トロフィー(最多ポイント)を獲得した マーティン・サンルイ(42歳・元ニューヨーク レンジャーズFW)は、このように話しています

「ホームゲームの時と違って、コーチが相手チームの選手とのマッチアップに気を使い過ぎずに済む。選手は決められた順番でリズム良く出場機会が巡ってくるから、ロードゲームの方が好きだった」

 スタンドからの大声援はあるものの、選手の立場では、何から何までホームアドバンテージだというわけでは、ないようです。

▼ホームアドバンテージはないの!?

 現在行われているCFのシリーズでも、「ホームアドバンテージはないの!?」と言いたくなってしまうカードがあります。イースタンのチャンピオンを決める、

の対戦です!

 これまでの戦績を振り返ると、レギュラーシーズンのポイント(勝点)で上回るタンパベイのホームアリーナでスタートした第1戦と、第2戦は、ワシントンが連勝!

 しかし、舞台をワシントンD.C.に移して行われた第3戦と、第4戦は、タンパベイが連勝!

 「ホームアドバンテージはないの!?」という声が聞こえそうなほど、ホームチームが勝てずにいます。

▼カンファレンスファイナルのカギを握る男

 ともに2試合ずつホームゲームを戦い終えた両チームのシリーズは、このあと第5戦はタンパ、第6戦はワシントンD.C.。そして天下分け目の第7戦は、タンパで行われます。(どちらかが先に4勝した時点で終了)

 このまま「Home UNSWEET Home」の流れが続くのか、興味深いところですが、注目しなくてはならない人物が!

 NHLのレフェリーを務める ゴード・ドワイヤー(41歳・タイトル写真)です。

 2003年からNHLの試合でホイッスルを吹き、これまでにプレーオフも含めて、900試合以上でレフェリーを担ってきましたが、タンパベイ戦(ホーム、ビジター問わず)のレフェリーを務めた試合は、一昨日の第3戦まで、ここ2季にわたって「9連勝中」!

 タンパベイの選手やファンにとっては、”ドワイヤーの勝ち運” にあやかりたいだけに、「今夜の第5戦もドワイヤー レフェリーが担当して!!」という声が聞こえてきそうです。

▼カギを握る男は41歳のレフェリー!?

 ただ視線を転じて、ベガスが勝利した昨夜のウエスタンのCF第4戦を振り返ると、王座を決めるSCFに毎年起用されている、 ダン・オハロラン(54歳)がホイッスルを吹くと、一昨季から負けなしが続いていたウィニペグが敗戦。

 ウエスタンでは、 ”オハロランの勝ち運”が尽きてしまっただけに、もし今夜の試合に起用された際、”ドワイヤーの勝ち運” が続くか否か?

 イースタンのチャンピオンを決めるCFのカギを握る男は、「41歳のレフェリー」かもしれません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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