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【NHL】求む!ゴールキーパー 勤務地・ステイプルズセンター 勤務先・ロサンゼルスキングス

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ロサンゼルスキングスのゴールを守るジョナサン・クイック(写真:ロイター/アフロ)

 来月4日(現地時間)の開幕を前に、NHLの各チームのトレーニングキャンプ(名称が異なるチームもあります)がスタート。

 半年にわたるレギュラーシーズン(各チーム82試合)と、プレーオフ(7回戦制×4つのラウンド)を見据え、各チームの選手たちがトレーニングに汗を流します。

▼求む!アイスホッケーのGK!!

 トレーニングキャンプの幕開けを間近に控えた今日、ロサンゼルス キングスが「トライアウトを実施する」と発表

 どのようなものかと言うと、「エマージェンシー バックアップGK」 のトライアウトです。

 NHLをはじめとする北米のプロリーグに限らず、国内のトップチームが加盟しているアジアリーグの公式戦などアイスホッケーの試合では、スターター(先発)と、バックアップ(控え)という 「二人のGKをベンチ入りさせなくてはならない」との規定があります。

 しかし、NHLのレギュラーシーズンのように長丁場の戦いでは、しばしば不測の事態が発生することも。

 当サイトで今年の元日に紹介しましたが、昨季のNHLの公式戦でもメインGKが体調を崩し、用具マネージャーがGKとして選手登録され、試合に出場したケースも!

▼息子が先発!父親がバックアップ!

 カロライナのケースに限らず、昨季はバンクーバー カナックスでも同様のケースがあり、近隣の大学からバックアップGKを招いて、試合に臨んだこともありましたが、いつも事なきを得たわけではありません。

 実際に昨季のロサンゼルスでも、プレーオフMVPを受賞した経歴を誇る守護神のジョナサン・クイック(31歳/タイトル写真)を皮切りに、次々とGKの負傷が続き、 マイナーリーグでプレーしている息子がスターター。コーチをしている父親がバックアップでベンチ入りという試合も見られました。

▼刺繍用品店を営む51歳のGKも

 また6季前にはミネソタ ワイルドのメインGKが、家庭の事情によってチームを離れなければならず、本来はバックアップ役のジョシュ ・ハーディングを、急きょスターターに起用。

 バックアップGKの代役に、AHL(NHLの一つ下のリーグ)のアフィリエイトチーム(テキサス州・ヒューストン)から、飛行機で遠征先(テネシー州・ナッシュビル)にGKを呼び寄せましたが、到着時間は試合開始に間に合うかどうか? というほどギリギリの状況。

 そのため最悪の事態に備え、あらゆるコネクションをたどって、元アシスタントコーチの友人で、刺繍用品のお店を営みながら、”オヤジホッケー”(アマチュアリーグ)のGKとしてプレーしていた 51歳のポール・ドゥイツュと、一日限りの契約を結んだこともありました。(当時のストーリーは、筆者オフィシャルサイトをご覧ください)

▼非常事態専用のGK

 このような非常事態が、いつ何時に起きるかもしれないのに加え、NHLが「ホームチームは非常事態用のGKを用意しなければならない」と通達したことにより、ロサンゼルスのルク・ロバタイユ社長は、「非常事態専用のエマージェンシーGKのトライアウトを行う」と発表したのです。

 チームの発表によると、申し込み可能なのは18歳以上で、先着30名をもって締め切り。

 具体的な表記はありませんが、高いレベルのプレー経験を持ち、ステイプルズセンターで行われる今季のホームゲーム全試合で、エマージェンシーGKを務めることができる者を対象にしています。

 NHLの規定によって、プロ契約を結んだ経験がある選手は、エマージェンシーGKとして一日限りの契約を結ぶことができないため、身分はあくまでもアマチュアのままです。

▼あなたがGKだったら???

 このような状況の下で、(ホームアリーナの)ステイプルズセンターで試合がある日は、出番が巡ってくる可能性が限りなくゼロに近かったとしても、必ずスタンバイをしておかなければならないのです。

 トライアウトは今月27日の午後に、ロサンゼルスの練習アリーナのトヨタスポーツセンターで開催されますが、、、

「もしも、あなたがアイスホッケーのGKだったら、このトライアウトに参加してみたいですか?」

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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