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【NHL】日系人のヤマモトがゴールを決めて、またアピール! しかし主役は18歳のディフェンスマン

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
6月のドラフトで1巡目指名された日系人のカイラー・ヤマモト。でも主役は・・・(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ミネソタと並んで、アイスホッケーが盛んなミシガン州にあるUSAホッケーアリーナで開催されていたワールドジュニア サマーショーケース(WJSS)が、昨夜(現地時間)の試合をもって閉幕しました。

▼日本が発祥!NHLのスター候補が集う国際大会

 この大会が始まるに至ったのは、長野オリンピックへ向けた日本の強化プログラムからでした。

 日本アイスホッケー連盟が、ジュニア代表候補選手の強化に着手。「フェニックスカップ」と銘打って、1991年夏に第1回大会を主催し、カナダ、アメリカ、ロシア(当時はソ連)のU18(18歳以下)代表チームを招きました。

 その後、大会は参加国や開催地を変えながら、毎年夏にジュニアの国際大会として続いていきましたが、現在は二つの大会に分かれ、チェコがホストを務める大会と、NHLのチームからドラフト指名を受けた(or指名を受けることが濃厚な)未来のスター候補たちが北米に集うWJSSが、それぞれ開かれています。

▼北米vs北欧の戦い

 今年のWJSSには、アメリカカナダ の北米勢と、スウェーデンフィンランド の 北欧勢が参加。

 「北米vs北欧の戦い」だと思われるでしょうが、未来のNHLのスター候補たちが主役とあって、アメリカは「32人」、カナダに至っては「43人」も、ロースターに名を連ねています。

 それに対して、スウェーデンは「25人」 フィンランドは「24人」のエントリーとなっています。(ベンチ入りの選手数は国際ルールに従って最大22人)

▼不公平なんてお構いなし!

 エントリーの多いアメリカとカナダは、メンバーを2つのチームに分けて、それぞれのチームで戦ったのち、大会の終盤からベストチームを組み、最強の布陣を組んで準決勝と決勝へ。さらに加えて、各国の試合数も異なるという(日本のスポーツ界では想像できない)イレギュラーなフォーマットになっていますが、どのチームからも、不満の声が漏れることはありません。

 と言うのも、あくまで “未来のNHLのスター候補たちのアピールの場” とあって、不公平なんてお構いなし!

 今年の大会のメンバーを見ると、既にNHLの全31チームからドラフト指名を受けた「110人」のトッププロスペクトが、ズラリと揃う大会だけに、与えられた環境の中で、どんなプレーを披露するかもアピールポイントになるのです。

▼身長173cmの日系人がゴール

 このような条件の中でも、しっかりアピールをした選手の中には、6月のドラフトでエドモントン オイラーズから1巡目(全体22番目)指名を受けた カイラー・ヤマモト(FW・18歳)の姿も!

 ヤマモトは先月はじめに行われたエドモントンの若手キャンプで、いきなり存在をアピールしましたが、

 それに続いて、今大会でも準決勝と決勝でゴールを決めて、実戦に強いところを見せつけました。

▼ヤマモトを上回る強烈なアピールをした選手

 しかし、ヤマモトを上回る強烈なアピールをした選手も!

 それはアメリカの、デビッド・フェレンス(DF・18歳)です。

 

 上の写真でお気づきのとおり、6月のドラフトでナッシュビル プレデターズから3巡目(全体92位)で指名されたディフェンスマンですが、掛け値なしに、今大会最大のインパクトを与えるプレーを披露 !!

▼パワーからスキルへ大変革するアメリカの目玉選手に!?

 とにもかくにも、そのプレーをご覧いただきましょう。(最後のリプレイは今大会以前のフェレンスの得点シーン)

 鮮やかなゴールで、スタンドの観客はもちろんのこと、視察に訪れたNHLチームのスタッフやスカウトをも仰天させました。

▼ボストン大学へ進学

 ナッシュビルからドラフト指名を受けましたが、フェレンスは秋からボストン大学へ進む予定

 NHLのファンからすると、残念な気持ちもあるでしょうが、逆にアマチュアのままでいることから、「ピョンチャン オリンピック」の代表メンバー入りの可能性も!

 6日に配信した記事に掲載したとおり、アメリカ男子代表のジム・ジョハンソンGMは、

「昨今のホッケーは、全ての状況に於いてスケーティングが重要になっている。我々は高いスキルを誇るチームを目指していく」

との目標を掲げ、パワフルかつフィジカルに強いスタイルから、スキル重視のメンバー構成に転換する意向を表明。

 それだけに、フェレンスが現役大学生DFながら、アメリカ代表に選ばれて、ピョンチャンオリンピックに出場する可能性も、否定はできません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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