6月23日~29日は男女共同参画週間です。ちょうど昨日、Yahoo!で「データで知る日本のジェンダーギャップ」というコンテンツが公開されました。

 このグラフィックコンテンツは、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数ランキングを分析し、ランキング1位のアイスランドと120位の日本で何が違うのか可視化しています。日本では政治と経済分野で女性の進出が遅れていることを示し、それぞれの分野について、図やグラフを使ってひとめで分かるのが特徴です。私は監修でお手伝いしました。

 最近、「ジェンダー」つまり社会的・文化的に作られた性差について、耳にする機会が増えています。著名人の女性蔑視発言が問題として報道されることもあります。

政治のジェンダーギャップを知る教材としての「半沢直樹」

 ただ、よく聞くけれど、あまりピンとこない。何が問題なんだろう? と思っている人も少なくないようです。そこで、最近「ジェンダー」という言葉を知り、関心を持ち始めた方がとっつきやすいドラマ作品をいくつかご紹介してみます。

 まず「政治のジェンダーギャップ」について知りたい方には、大ヒットした日本のドラマ「半沢直樹」を見直すことをお勧めします。ただし、注目すべきは半沢と彼の周りの銀行マンではなく、江口のりこさん演じる白井亜希子・国土交通大臣です。

 半沢直樹が描く世界で活躍するのは男性が多く、社内、企業と官公庁、政界にまたがる権力闘争を大げさな演技で面白く見せています。そんな中、白井大臣は重要な役割を果たす数少ない女性。ほとんと笑顔を見せず、周囲の男性たちに同化しています。

少数派としての「過剰適応」を上手に描いた

 私は江口さんの演技を、とても上手いなと思ってドラマを見ました。というのも、日本の政界には、白井大臣のように男性以上に「男性的」に振舞う女性政治家が少なからずいるからです。これは少数派が多数派の文化に馴染もうとするとき、よく起きる現象で、私自身が若い時のことを振り返ると同じような振る舞いをしていたものです。

 では、政治の世界に女性が多いと、どんな違いがあるのでしょうか。デンマークのドラマ「コペンハーゲン」は、女性首相・ビアギッテが主人公です。中道穏健派の主人公は、移民政策などについてリベラルかつ現実的な路線で、様々な意見を持つ政治家たちを取りまとめ、リーダーシップを発揮していきます。私生活では2人の子どもの親で、経済学者の夫がメインで家事や育児をしています。

デンマークのドラマで描かれる人間的な女性首相

 「コペンハーゲン」を見ていて感じるのは、政治家も人間であり、私生活がある存在ということです。ビアギッテは多忙な毎日を送りつつ、子どもを気にかけ、重要な仕事を引き受ける前には夫婦で話し合うのが当たり前。太ってしまい、スカートがきつくなった…とぼやく場面もあり人間味を感じます。ワンサイズ上のスカートを買ってきてくれる夫のさりげない優しさも描かれています。

 ひとつの国を率いる仕事は甘くはなく、主人公は公私ともに様々な困難に直面し、時に理想的ではない決断を下すこともあります。このドラマが面白いのは、女性政治家が珍しくない国における男性の働き方や生き方を細やかに描いていること。ビアギッテを支える参謀役、広報部門を取り仕切る人など、年齢、経歴さまざまな男性が登場します。

 こんな風に女性像や男性像に着目して国内外のドラマを見ると、その社会のありようや課題が伝わってくるのです。記事に記したドラマは、いずれも、6月中旬に出版した「ジェンダーで見るヒットドラマ」(光文社新書)で詳しく紹介しています。

 冒頭で紹介した「数字で見るジェンダーギャップ」の記事と併せて読んでいただくと、日本と他の国で共通する課題や、日本が特に深刻な課題、その解決策などが見えてくると思います。