「マネーの虎」、今度は就活で復活か~「就活の虎CHANNEL」から就活の是非を考える

マネーの虎の2ショット。このあと、何かが起きる?(ナレーション風)

伝説のバラエティ番組「マネーの虎」

「マネーの虎」という番組を聞いて、「あー、はいはい、よく見ていた」となるか、「何ですか、それ?」なのか、結構年齢が分かれます。

同番組は2001年10月から2004年3月まで日本テレビで放送されていたバラエティ番組です。

実現したい企画を挑戦者が持ち込み、プレゼンをします。その審査をするのは成長企業の社長(マネーの虎)5人。

机の前に札束を積み上げたうえで、志願者のプレゼンに対して、厳しい質問を浴びせます。

虎を投資する気にさせ希望金額に到達すると「マネー成立」。

数百万円から2000万円以上もの巨額を一気に融資されます。

単なるクイズ番組などであれば、賞金ないし景品は最高でも1000万円までとなりますが、この番組だと上限がないところがミソ。

視聴者は、挑戦者が巨額の投資を受けられるかどうか(あるいは、負けていくのか)ドキドキしながら見ていました。

今でも、この番組を懐かしがる中高年のファンは多くいます。

元「マネーの虎」・岩井良明社長がYouTube開設

この「マネーの虎」に出演していた社長の一人が岩井良明・株式会社モノリス社長です(MONOLITH Japan代表取締役も兼任)。

株式会社モノリスは1989年創業・1992年設立の塾運営会社です。

東京商工リサーチの企業情報のコメント欄には

「愛知県江南市及び名古屋市内に8教室の学習塾を運営する企業で、高い合格率を背景に安定した事業基盤を構築している」。

この岩井社長はもとは「マネーの虎」に挑戦者として出演しようとしていました。しかも、他の挑戦者と異なり、すでに塾の運営会社(株式会社モノリス)を立ち上げ、軌道に乗っていた時期です。挑戦者として出演しようとしたところ、スタッフから逆に「虎として出演を」と言われて、番組中期から虎として出演することになります。

元同志社大学応援団に在籍。思いがあって塾を立ち上げたということもあり、挑戦者に熱く、ときに厳しく語るキャラクターも視聴者から支持を集めていました。

この岩井社長が、2018年12月に「就活の虎CHANNEL」を開設しました。

元々、仕事の合間に動画を見る(あるいは動画を見る合間に仕事)のが私、石渡という人間です。ある日、「就活の虎CHANNEL」を発見。どうせ、「マネーの虎」に乗っかった素人ものだろうと思いきや、岩井社長の番組でした。

対談形式でゲストは南原社長・川原社長も

しかも、第一回は岩井社長と同じマネーの虎だった、南原竜樹・株式会社LUFTホールディングス代表取締役社長(以降、南原社長と表記します)。「マネーの虎」では人気だった社長の1人です。

その後、2018年12月30日現在、11本の動画を公開。

いずれも、岩井社長とゲストがその回のテーマについて対談する、という形式です。ゲストは南原社長以外には、川原ひろし・株式会社なんでんかんでんホールディングス社長、田中修治・株式会社オンデーズ代表取締役社長(メガネチェーン)、林尚弘・A.ver代表取締役社長(武田塾を運営)の4人。

この4人はいずれも共通点があって、「就活しなかった」という点です。実際に番組の冒頭ではチャンネル名のナレーションの後、「就活しなかった人々」の画像とナレーションも入ります。

2018年12月30日現在、チャンネル登録者数は4192人。動画の視聴PVは1700~4.9万回というところ。人気はやはり南原社長の回、次が川原社長。

やはり「マネーの虎」は強し、というところでしょうか。

コメント欄を私が見た限りでは就活生が2~3割程度、残りは社会人でマネーの虎ファンが多いようです。就活生も「見ていました」とあるのですが、おそらく動画経由で見たのでしょう。

毎回、終了間際に動画概要欄のリンクから登録すると『就活の虎 虎の巻』プレゼントとあります。

果たして、どんな内容なのか、そこは不明です。

岩井社長はTwitterも開設。こちらには、

「元マネーの虎・株式会社MONOLITH Japan代表取締役の岩井良明です。 現在『就活の虎』として大学生と企業のマッチングビジネスを立ち上げました。 この事業に特化して、つぶやいて行こうと思っています」

とあります。

今後、このマッチングビジネス関連についても情報が出てくるもの、と思われます。

就活しなくてもボスキャラに勝てるか

 この「就活の虎CHANNEL」が面白いのは、やはり「就活」と出しながら「就活しなかった人々」をゲストに招いている点です。

 今後、この非就活組をゲストに呼び続けるのか、それとも、別形式も合わせて出して行くのか、そこも注目したいところ。

 ちょうど、この「就活の虎CHANNEL」が開設された時期に、私は学生からこんな質問を受けていました。

「堀江貴文さんの本には『正社員は現代版の奴隷制』とありました。大手企業では入社後は雑用が多いと聞きますし、低賃金で長時間働かされるようです。しかも、大きな仕事を任せて盛らないようですし。だったら、非正規の方が賃金も上昇していますし、魅力あると思うのですが」

私は堀江さんの本を読んでいなかったのですが、「正社員は現代版の奴隷」ですか、なるほど。

そういう点があることは否定しません。

ただし。私自身のキャリア、つまり、「就活せず卒業→非正規で日用雑貨の実演販売などを3年→編集プロダクションでアルバイト6か月・正社員4か月→ライターとなって現在に至る」から言えることですが。

正社員が「現代版の奴隷」とするならば、非正規・フリーターは、もっとしんどいような。と、言いますか、私自身は相当しんどかったです。

いや、社会人になって1年目・2年目くらいは正社員と非正規・フリーターの賃金差はそれほどでもありません。むしろ、時間を自由にできる、働こうと思えば働ける非正規・フリーターの方が稼げます。

ところが2年目・3年目あたりから正社員と非正規・フリーターは賃金面で大きな差が出てきます。しかも、5年・10年経つと、新入社員の頃に受けていた新入社員研修、これの違いが明らかに出てきます。組織内での動き方、経営幹部候補生としての心構えなど、新入社員の時期には「うわ、講義だの研修だの、鬱陶しい」と思うような話が実は5年・10年経過してから役立つのです。

「入社後は雑用が多い、大きな仕事を任せられない」というのも、大企業・中小企業問わず、よくある話です。いきなり大きな仕事を任せるのは一部のベンチャー企業と外資系企業くらいでしょうか。

それが仕事のできる人であれば、つまらない、とも言えますし、堀江さんであれば「現代版の奴隷制」と言い切ることにもなるのでしょう。

ここで考えていただきたいのが最初から仕事をできる人ばかりなのか、学生は、という点です。

堀江さんや、あるいは、「就活の虎CHANNEL」にゲストとして出演している南原社長などは、早い時期からビジネスを展開し、そして成功していました。

それはそれでキャリアの在り方の一つです。

が、大半の学生はそうではありません。銀行に入った新人がドラマ「半沢直樹」のように企業買収の案件をまとめられるでしょうか、それも数百億円規模の。

商社に入った新人が石油の買い付けをすぐにできるでしょうか。

そういう新人がゼロとは言いませんが、極めて少ないであろうことは想像にかたくありません。

ドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどのRPG・ロールプレイングゲームに例えれば、日本の企業(の大半)は、新人が何の武器も防具も持っていないことを理解しています。

そのうえで、RPGのように、「雑魚キャラと戦う→経験値とお金を稼ぐ→低レベルの武器・防具を買う」を経験させます。

で、武器や防具が揃ってきたら、RPGと同じように、中ボス戦に移行。そして、最後は最高レベルの武器・防具を装備したうえでラスボス戦に入っていきます。

では、新人にいきなり大きな仕事を任すベンチャー企業や外資系企業、あるいは堀江さんや南原社長のようなパターンというのは、RPGだとどうなるでしょうか。

いきなり、ラスボス戦に移行します。そのために必要な武器なり防具なりは「え?自分で揃えているでしょ?」。

もちろん、ラスボス戦に勝って、次のゲームに移行するのか、それとも負けてゲームオーバーとなるのかは完全な自己責任。

「RPGで考えればわかりやすいはず。もし、学生のうちからラスボス戦に勝てるくらいの武器も防具も揃えていて自信がある、ということであれば、無理に就職しなくてもいいんじゃないかな。逆に、最初から『ラスボス戦なんて無理ゲーです』ということであれば、堀江さんが何を言おうが、就職して雑魚キャラ退治からの経験値稼ぎの方がよっぽどいいと思うよ」

就活をするのか、それとも起業も含めた違う選択肢を取るか悩む学生にはこう説明するようにしています。

就活をしない人の話こそ就活生の役に立つ

では、就活をする学生が、就活をしなかった人の話、「就活の虎CHANNEL」を見る価値がないか、あるいは堀江さんの本を読む価値がないか、と言えばそんなことはありません。

就活を経験した人の話、というのはそれはそれで有益です。

同じように、就活をしなかった人の話、というのも、就活生には有益です。

「就活の虎CHANNEL」で言えば、南原社長の企業選びの視点のこの動画などは就活生は見るべき価値があります。

今のところ、「マネーの虎」ファンの社会人が中心の「就活の虎CHANNEL」。今後、どこまで学生の支持を集めるのか、どんな動画をあげていくのかを含めて注目です。