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進路相談19・合格率の低い社会福祉系学部でできることは?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問:社会福祉業界志望です。社会福祉士の合格率が10%台と低い大学に進学が決定してしまいました。他の大学が志望校だったのですが、家の事情で滑り止め校に行くしかありません。せめて、この大学でできることは何かあるでしょうか?

大学受験は残念でした。私も2浪しましたが(親不孝)、多少の回り道は人生につきものです。落ち込まず、前を向きましょう。

ポイントは3つ。

さて、福祉系学部で社会福祉士合格率が20%割れ、10%台というのは、まあ低いですね。

ただ、他のコラムでも書いた通り、平均合格率が低くても現役合格率の高い大阪人間科学大のようなところもあります。

そこでポイント1は「平均合格率が低くても現役合格率の高い大学かどうか」。

平均合格率が10%台でも現役合格率が40%台(大阪人間科学大などが該当)であれば、過去の既卒者はひどくても現役生は伸びている(それだけ教育熱心で変わりつつある)大学、と判断できます。

そういう大学ならそこまで落ち込まないように。

その次、ポイント2は「雰囲気に呑まれず、大学、教員を使い倒す」。

合格率の低い大学の多くは残念ながら、学生に勉強しようとする姿勢がありません。

この生ぬるい雰囲気にはまると「1人だけ努力してもばからしい」と思って勉強しなくなります。

しかし、どんな大学でも少数の学生は勉強しようとしています。

合格率10%割れの大学なら絶望的ですが、合格率10%台なら、まだぎりぎりで、少数派の学生はいるはず。

そうした同級生ないし先輩学生と一緒に勉強するようにしてください。

そのために、大学や教員はどんどん使い倒しましょう。

「有志で福祉の勉強サークルを作った、ついては補習などをしてほしい」

と言えば、大学や教員は泣いて喜ぶはずですよ。

ポイント3は「他大への編入、ないし、留年も合わせて検討」です。

ポイント2と矛盾するようですが、どうしてもその大学に合いそうにないのであれば再受験をお勧めします。

学費などの関係で再受験が難しいなら、他大学への編入がいいでしょう。

同じ福祉系学部であれば最初に入学した大学で取得した単位の多くが認められます。

ただし、再受験・編入はポイント2を実行してそれでもダメだった場合のみお勧めです。

様々な事情があるにせよ、最初に入った大学で勉強しない、自分から動かないで単に「偏差値も低いし、周りもばかだから」が理由で再受験・編入を希望するのはどうでしょうか。

再受験・編入ができても結局、勉強しないようでは意味がありません。

それと、留年。

社会福祉士は国家資格なので試験はやはり難しいです。

高校卒業時点ないし大学2年終了時点で基礎学力が身についていない場合、社会福祉士の合格は難しいでしょう。

万が一、合格できても社会に出てからが大変なはずです。

合格を確実なものとするためには、あえて1年くらいは留年して試験対策だけでなく、基礎学力を身に付ける努力をした方がいいでしょう。

※『時間と学費をムダにしない大学選び2016』(中央公論新社)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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