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進路相談6・情報や工業の教員免許を取るメリットは?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問:情報や工業の教員免許をとっても需要がなさそうです。とるメリットはありますか?

情報や工業、確かに需要はないですね。

教員就職という点では費用対効果が非常に悪い資格と思います。

たとえば、2013年度・神奈川県教育委員会の高校教員採用では、国語70、理科70、英語80などに対して、情報5、工業5にとどまっています。

しかも、工業はまだ少数ながら教員採用があるものの、情報はいまだ教員採用をしていない県が10県以上もあります。

短期的には非常に費用対効果が悪い資格です。

ではメリットは、と言えば、一度、情報(あるいは工業)を取得した後に他教科の教員免許を取りやすい点にあります。

教員免許を取得できる通信教育部でも、情報(ないし工業)を取得しておけば、重複する科目は履修する必要がありません。

全く教員免許を取得していない人よりも負担は軽い、と言えます。

たとえば、情報の教員免許を取得した後、数学の教員免許を取ったとしましょう。

情報だけだと社会人転職でも非常に厳しいですが、2教科あれば、おおすごい、と一変します。

長丁場で考えればメリットはありますが、心なしかその辺まで宣伝する大学はほぼゼロ。

それでいて「情報という教員免許も取得できる」とやたら強調して、就職先も多そうと思わせるのはちょっとアンフェアなのではないでしょうか。

※『時間と学費をムダにしない大学選び2016』(中央公論新社)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計33冊・66万部。 2024年7月に『夢も金もない高校生が知ると得する進路ガイド』を刊行予定。

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