今期もっとも作り手の心をゆさぶるアニメ「映像研」の動きを作っているのは日本人ではないという話
今どきのアニメというのは、ざっくり年に4回の期に分かれて放送されており、各期がはじまりしばらくすると「今期のアニメはどれが面白い?」という話をするのがアニメを見ている人たちの定例な感じとなっております。
ただ、今期に関してはいわゆるアニメ好きの枠を超えて「映像研すごいねえ」とか「映像研のためにオンデマンド契約した」とかそういう話が聞こえてきています。
▼「映像研には手を出すな!」PV
そういった声を受けて、初回の放送が1月5日(しかも日曜深夜)だったということもあり、NHKが早々に1から4話までの再放送をするという異例のことをしているのも納得できる状況です。
アニメ版「映像研」の内容については、原作と変わっている部分もあり、放送が終わっていない段階であれこれ言うことでもありません。そもそも、アニメを作る話であるマンガ原作を、さらにアニメ化するというとてつもない難題に挑戦している作品なので、最終話にゴールするだけでもすごいことなんです。いや、でも文化祭よかったですよねえ、ホントによかった。
優れたアニメ作品には優れたオープニングが付き物ですが、それは映像研においてもそうです。お話としてはスロースターター気味の映像研という物語において、オープニングの出来栄えが1話放送時の評判を強く後押しました。
▼「映像研には手を出すな!」オープニングテーマ「Easy Breezy」
このオープニング動画がネットで公開されると、ネットではミームと呼ばれるパロディ動画がたくさん登場しました。こういう感じも、実にひさしぶりな感じです。
▼Demon Slayer opening but it's actually "keep your hands off eizouken!"【映像研には手を出すな!(Easy Breezy)】
▼the spongebob squarepants opening but it's actually "keep your hands off eizouken!"
そして、この映像研のオープニングの見事な解説記事も出ています。1コマ単位でアニメを解説する記事、こんなの見たことないです(笑)。
そして、この各キャラクターの動きそのものを作っているのが、サイエンスSARUのアベル・ゴンゴラさんです。ご本人のインタビューが翻訳されたものが、すでにツイッターに出ています。
フランスのアニメーターであるアベル・ゴンゴラさんのアニメーション技法は、Flashを使うことでよく知られています。テレビだけでなく、劇場版もFlashで作られているのです。
スマホ時代に実質皆殺しにされたFlashが、今見事にアニメーションツールとして復活しているのもうれしいことですし、それを使いこなしているクリエイターが出ていることもうれしいです。
で、なにが言いたいのかというと、今の優れたアニメーションの多くはたしかにジャパニメーションという言葉があるように、日本発のものが多いのはまちがいないことです。しかし日本人が作っているからジャパニメーションなんていう世界ではもうとっくにないのです。
最初にジャパニメーションを作った人たちが生み出したクリエイティブの種はとっくに世界中に広まっていて、ジャパニメーションのクリエイターも世界中にいるのです。それだけは知っておいて欲しいんですよね。
で、最後になりますが、この映像研オープニングのすごさを支えているのは、なんといっても先日ミュージックステーションにも登場したchelmicoの楽曲のすばらしさに他なりません。そのアーティスト側であるchelmicoのオフィシャルMVを最後にもう一度見て、再度この楽曲のすばらしさに確認しつつ、アニメとの最高の出会いにも感謝したいです。
▼chelmico「Easy Breezy」【Official Music Video】