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渋谷ハロウィンの成果物、実写版『バイキンマン』、その制作体制のクリエイティブさにうなった

いしたにまさきブロガー/ライター/アドバイザー
2019年、渋谷ハロウィンの様子(写真:アフロ)

渋谷ハロウィンといえば、筆者の思い出は渋谷ハロウィンが話題になりはじめた頃に、普段は人があんまりいないような小道で、血だらけの女の子たちが前から歩いてきて、ホントになにかの終わりを覚悟したことぐらいです。

今年の渋谷ハロウィンについて、ああだこうだいうつもりはまったくないのですが、その渋谷ハロウィンの成果物と呼んでいい動画をここでは紹介したいと思います。

その成果物と言える動画が公開されたのは、11月8日、タイトルは「【4K】実写版『バイキンマン』Tribute Movie "BAIKIN-MAN"」。最初にソーシャルメディアで流れてきた動画のサムネを見たときには、正直ふーんぐらいにしか思ってなかったんです。サムネからだけでも、なんのパロディ動画なのかはタイミング的にさすがにわかりますしね。

ところが、この実写版『バイキンマン』、もうなんどもなんどもソーシャルメディアに流れてくるんです。こりゃなんかあるなと、やっと重い腰をあげてみました。そして、非常に感心しました。そして、感心したのは、動画の中身ではなく、この動画の作り方、つまりその制作体制のクリエイティブさです。

一見してわかることは、とにかくよくできたパロディ動画であること。そして、見ていくうちにわかってくるのが、バイキンマン本人だけではなく、その背景の見事さなんです。パロディ動画でこんなに背景が作りこまれているのはおかしいわけで、もう少し見ていくと撮影地が渋谷であることがわかってきます。そして、動画半ばで、「Halloween(ハロウィン)」という文字が出てきたところで、はっきりとあることがわかります。

あ、そうか!このパロディ動画、渋谷ハロウィンの日に渋谷で撮影したんだ!

なお、私は最初見ていなかったのですが、渋谷ハロウィンで撮影したことは、YouTubeの概要欄に「構想・撮影4時間!(笑)

10.31 ハロウィン@渋谷で撮影してみた。お楽しみムービーです。」とちゃんと書かれています(ただし、クリックしないと出てこない)。

このパロディネタを、渋谷ハロウィンで撮影しようと思いついた時点で、この動画は大勝利ですよ。なにしろ、渋谷ハロウィンで撮影する時点で、こういう動画で撮影困難になりやすい大きな3つの事柄が一気に全部解消されます。はい、この3つです。

  • 街中におかしな格好の人がいても、誰も気にしない
  • 主人公の背景におかしな格好の人たちがたくさんいて欲しい
  • 街中で撮影機材をまわしていても、誰も気にしない

書き出してしまえば、これだけのことですが、これだけのことを実現するのに、どれだけのお金と手間がかかるのか想像するだけで、くらくらします。ホント、このパロディをあの渋谷ハロウィンで撮ろうとよくぞ思いついたものです。そして、バイキンマンの顔とメイクも演技もかなりいいんですよ。すばらしいキャスティングです(笑)。

さて、一応この優れたパロディの元ネタの話もしておきましょう。元ネタはもちろん全世界で大ヒット中の「ジョーカー」の予告編です(日本語版は10月4日に公開)。

なんか、ジョーカー公式のパロディ動画とかになるといいのになあ。とにかく、みなさん一度パロディ動画を見て、本家ジョーカーの予告編を見て、もう1回、このパロディ動画を見てみましょう。

私がいちばん好きなシーンは、55秒ぐらいからのシーンです。いやあ、お見事。

ブロガー/ライター/アドバイザー

Webサービス・ネット・ガジェットを紹介する考古学的レビューブログ『みたいもん!』管理人。2002年メディア芸術祭特別賞、2007年第5回Webクリエーションアウォード・Web人ユニット賞受賞。「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である(技術評論社)」「あたらしい書斎(インプレス)」など著書多数。2011年9月より内閣広報室・IT広報アドバイザーに就任。ひらくPCバッグ・かわるビジネスリュックなど、ネット発のカバンプロデュースも好調。 #カゲサポ

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