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楽天、タレック・アミン氏退任に三木谷浩史会長が「塩対応」 石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.527

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト

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石川 温の「スマホ業界新聞」

2023/08/12(vol.527)

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《目次》

1.楽天モバイル共同CEOだったタレック・アミン氏、突然の退任

----なぜ、三木谷浩史会長はタレック氏に「塩対応」なのか

2. NTT島田明社長が政府の株売却問題に言及

----技術開示、ボトルネック設備など、どこまで見直しが進むのか

3.楽天グループがOpenAIとの協業を発表

----三木谷会長と孫会長、どちらがアルトマンCEOと仲良しなのか

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.楽天モバイル共同CEOだったタレック・アミン氏、突然の退任

----なぜ、三木谷浩史会長はタレック氏に「塩対応」なのか

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8月7日、楽天モバイルと楽天シンフォニーは新執行体制を発表した。これまで技術面を担当し、楽天モバイルでは代表取締役共同CEO、楽天シンフォニーのCEO、楽天グループの副社長であったタレック・アミン氏が突如、退任することに伴うものだ。タレック氏のLinkedinによれば「子どもの教育に注力したい」というのが退任の理由だという。

「自己都合」と言われれば、どうしようもないが、とはいえ、あまりに突然のタイミングでちょっと首をかしげたくなる。「子どもの教育のため」という自己都合であれば、キリの良いタイミングで退任というのもできたはずだ。

しかも、8月2日からパシフィコ横浜で開催されたイベント「Rakuten Optimism」では当初、タレック・アミン氏の登壇がアナウンスされていた。それが数日前に登壇者が変更となり、当日も「一部、プログラムで登壇者が変更になっています」とアナウンスがあっただけだった。あまりに突然の退任劇だったことがわかる。

8月10日に開催された楽天グループの決算会見において、新執行体制については、三木谷浩史会長ではなく、別の幹部が説明を行っていた。質疑応答で聞かれた際に三木谷会長から「本当に個人的な理由ということなので、我々としては仕方がない。そのなかで、ゼロから1をつくる人と、1を100にする能力は、別だと思う。ある意味オペレーションに近いシャラッドがテイクオーバーするというのは、実務的に言うとむしろポジティブだととらえている」としたのだ。

2018年のMWCでタレック・アミン氏と会い、楽天モバイルに招集。完全仮想化と、それをベースにした楽天シンフォニーという、既存3社にはないビジネスモデルを構築したという立役者の退任としてはあまりに素っ気ないコメントであった。もうちょっと、(嘘でもいいから)感謝の意を伝える場面があっても良かったのではないか。

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ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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