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世界に出遅れたニッポンの5G。救世主はミリ波iPhoneか 石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.52

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト

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石川 温の「スマホ業界新聞」

2023/07/15(vol.524)

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《目次》

1.世界から大きく遅れたニッポンの5G

----救世主はミリ波に対応したiPhoneの日本上陸か

2. ソフトバンクが「最も安定したユーザー体験」でナンバーワン

----グローバルスタンダードであるエリクソンのおかげか

3.ソフトバンクがStarlink「認定再販事業者」に

----OneWebはStarlinkを超えることができるのか

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.世界から大きく遅れたニッポンの5G

----救世主はミリ波に対応したiPhoneの日本上陸か

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エリクソンは7月14日、モビリティレポート2023年6月版の詳細を説明した。エリクソンによれば、2023年末に世界で5G通信の加入者数が15億に達する見込みだという。また、2028年にはスマートフォン1台あたりの平均月間データ使用量は54GBになると見込んでいる。エリクソンの立場的には「5G設備へのさらなる積極的な設備投資が必要」というわけだ。

エリクソンのレポートを見ていると、世界的には5Gへのシフトが進んでいる一方で、日本はやや立ち後れている感が否めない。

日本が世界に遅れている要因としては、ひとつにはSub-6で使われている3.7GHz帯が、3大都市圏において、衛星の地球局との電波干渉があったという点にある。このあたりは改善が進むのを待つしか無い。

また、そもそも日本は4Gネットワークの品質が高いこともあり、ユーザーとすれば「5Gにつないでも体感は変わらない」という状況を生み出してしまったのが大きいだろう。

さらに5Gスタート時と、菅政権による値下げ圧力を被ってしまったのが不幸だった。キャリアとすれば、5Gを1000円ぐらいのオプション扱いとするつもりのようだったが、菅政権により値上げをする選択肢がなくなってしまった。値下げ圧力により、モバイル通信収入が不安定になるなか、5Gへの積極投資にブレーキがかかった感も否めない。

5Gのミリ波への投資が少ないのは何とも理解しがたい。確かにミリ波は飛びにくく、お世辞にも扱いやすい電波とは言えない。とはいえ、5Gが始まる前はあれほど「5Gはバラ色の未来」のように語っていたのだから、もうちょっとミリ波に注力してもいいのではないだろうか。

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ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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