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アップルのティム・クックCEOが来日。この5年で日本企業に13兆円を投資したと明かす

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト
ティム・クックCEOの来日は3年ぶり。

 アップルのティム・クックCEOが2019年12月以来となる来日を果たしている。12月12日、6年前に熊本地震で大きな被害を受けた熊本城をバックにした写真をTwitterにアップしている。

 アップルは12月13日、この5年間で日本のサプライヤーに1000億ドル(約13兆6000億円)以上の投資してきたと発表。この投資は日本で合計100万以上の雇用を支えているとしている。

 ティム・クックCEOは「日本を訪れるたびに、私たちのチーム、お客様、デベロッパ、サプライヤーが、教育への取り組み、美しいデザインへの情熱、私たちの地球を守ろうという確固たる努力など、私たちを一つにする創造性と価値を共有しているのを目にしています。再びつながり、私たちの共同作業をたたえ、私たちが作ることのできるさらに明るい未来へと目を向けることは、大きな喜びです」と語る。

 アップルでは2019年以来、日本の1000社以上のサプライヤーに対して支出を30パーセント以上増加させてきた。

 日本における最大のサプライヤーの1社はソニーで、2011年からiPhone用のカメラセンサーを製造。今年発売されたiPhone 14 Proに搭載された48MPメインカメラに採用された新しいクアッドピクセルセンサーの製造もになっている。

 また、Apple Watchバンドの一部は155人の従業員が細幅織物技術を利用して製造している福井県の井上リボン工業、Appleが製品ライン全体の保護コーティングに使っているハイエンド機器の設計、開発、製造は金型メーカーのシンクロンが担っているという。

アップルでは地球環境に配慮した経営を行っているが、その方針に賛同し、2030年までアップルの事業を100パーセント再生可能エネルギーでまかなうことを表明した日本のサプライヤーは29社にもなる。

ソニー、村田製作所、セイコーアドバンス、恵和、フジクラ、日本メクトロン(Mektec)、住友電気工業などの企業は、風力発電プロジェクトや施設内太陽光発電設備、仮想電力購入契約(バーチャルPPA)などの革新的な構造をはじめとし、様々な再生可能エネルギーソリューションをサポートしているという。

また、AppStoreにおいても、アップルは日本だけで2020年に346億ドルの売上の創出に貢献している、と明らかにしている。

現在、日本ではGAFAに対して規制を強化しようという動きがある。アップルに対しては「サイドローディング」として、AppStore以外のアプリ流通市場を作るべきだという声も政府から上がっている。

日本での風当たりが強くなる中、アップルとしてはティム・クックCEOが来日することで、日本の経済への貢献をアピールしたいようだ。

ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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