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浜崎あゆみさんの思い「動物の命を救っても世界は変えられない。でも、その動物の世界は永遠に変えられる」

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

劣悪な環境で繁殖させられていた保護犬を救いたいと思っている人が数多くいます。

同じ思いの浜崎あゆみさんが、ブリーダーのもとで繁殖に使われていた2匹の保護犬を迎えいれました。

浜崎さんのような影響力がある芸能人が、SNSを通じて動物愛護について発信してくださることは、本当にありがたいです。みんなの理解が、より広まります。その辺りを見ていきましょう。

浜崎さんが賛同した言葉

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イメージ写真写真:イメージマート

ABEMA NEWSは、浜崎さん自身の思いとして「動物の命を救っても世界は変えられない。でも、その動物の世界は永遠に変えられる。私はこれからもこの言葉を信じて、彼らを家族の一員として向き合っていきます」と動物保護に対する決意を新たにしていると伝えました。そして、浜崎さんは、繁殖犬だったフレンチブルドッグの2匹の里親になりました。

筆者は動物愛護の記事を書き続けていますが、保護猫や保護犬がいなくなる気配はなく、多くの動物愛護団体は満室状態です。浜崎さんの言葉を思い出し、微力ですが1匹でも助けることができればと思って書いています。

浜崎さんは、保護した動物の世界は永遠に変えられると、つまり1匹1匹を救うことの大切さを教えてくれています。このように、目の前の子たちの命を考える必要があるのです。

浜崎さんは「里親が見つかりづらい子がいたら教えて」と

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浜崎さんは、動物保護団体に「里親さんが見つかりづらい子がいたら教えてください」とメッセージを送ったとJCASTニュースは伝えています(一般的に施設では、子猫や子犬が人気で、成猫や成犬はあまり里親が決まりません)。

実際、浜崎さんは施設に1年いるフレンチブルドッグを2匹引き取りました。1匹は年齢も9歳(シニア犬)ということもあり、里親応募が今まで一件もなかった子です。

もう1匹は、オシッコが出にくくなる下部尿路疾患を引き起こす尿管結石ができやすかったり、過去に鼠径ヘルニアになりお腹が大きく腫れて緊急オペをした経緯があったりする子でした。

そんな子たちも、浜崎さんは全てを承諾して「最期まで幸せにします」と約束したそうです。動物保護団体は、浜崎さんはフレンチブルドッグの飼育経験があり、熱中症や皮膚疾患にもなりやすいことも理解しているので、安心して里親になってもらうことを決定したそうです。

繁殖犬とは

一般社団法人ペットフード協会 2022年ペット入手時の情報源・入手先
一般社団法人ペットフード協会 2022年ペット入手時の情報源・入手先

上のグラフを見ていただくと、犬の入手先の1位は、ペットショップで購入の51.9%です。ガラスケースに入れられて売られている子犬の親犬は、劣悪な環境で飼育された繁殖犬が数多くいるのです。

浜崎さんが保護した犬は、ブリーダーもとに多くの犬が鳴くと困るので、声帯の手術をして鳴けないようにされていました。この子らが例外ではなく、多くの繁殖犬は、このような処置をされています。

そんな劣悪な環境にいることを知らないで、ペットショップで購入してしまうのでしょう。しかし、浜崎さんが、繁殖犬の保護犬を飼い始めたことで、シェルターなどの保護施設から犬を入手しようかと、考える人も増えていくのではないでしょうか。浜崎さんは、保護した動物たちの世界を永遠に変えられることだけではなく、それに加えて、多くの人の動物愛護の気持ちを動かしました。

芸能人のように有名な人が、このような動物への理解がある行動をしてくださることは、本当にありがたいです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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