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発症すれば致死率100%の狂犬病が国内で14年ぶりに 犬の飼い主がすべきこととは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

先日、国内で14年ぶりに狂犬病が発生したというニュースが飛び込んできました。

犬の飼い主は、狂犬病予防法という法律があり、生後90日を過ぎると狂犬病ワクチンを打つことが義務化されています。新型コロナウイルスと同じで、狂犬病も感染症なのです。狂犬病は、発症すると致死率100%の怖い病気です。コロナ禍の中、いまの犬の飼い主がすべきことを考えましょう。

 愛知県豊橋市は22日、フィリピンから来日した人の狂犬病発症を確認したと発表した。

 来日前に同国で感染したとみられる。日本国内で人が狂犬病を発症したのは2006年以来、14年ぶり。

出典:国内14年ぶり狂犬病発症 来日者、フィリピンで感染か 愛知・豊橋

今年の4月に狂犬病予防の集合注射ってあった?

実は一ヶ月ほど前に、私は狂犬病のリスク、懸念について記事を書いていました。

新型コロナウイルスの感染拡大の予防のために、狂犬病予防の集合注射が、中止、延期になった地域は多くあります(各自治体によって違うので、HPなどで確認してください)。

外出自粛の影響で、ついつい狂犬病の予防注射を打っていない飼い主がいるかもしれません。わざわざ動物病院まで行って狂犬病の予防注射を打つのは、面倒だと思っていませんか。

いま新型コロナウイルスの感染拡大を予防するために、私たちが「家にいよう」「ステイ ホーム」をしている理由は、新型コロナウイルスのワクチンや特効薬がないためです。このコロナ禍の中で生活をしていると、ワクチンの重要性、大切さを理解していただけると思います。

狂犬病予防注射を打ってない飼い主へ

・どこの動物病院でも狂犬病予防注射は、常備しています。生後90日が経過してまだという方は、早めに近くの動物病院で狂犬病の予防注射を打ってもらいましょう。

・いまの時期、3密に配慮しながら、動物病院は治療をしているので、電話をしてから来院してください。

・予防注射なので、犬の体調のいいときにしましょう。

狂犬病の発生状況

狂犬病の清浄国(2019年)

・日本

・ニュージーランド

・オーストラリア

・スカンジナビア半島

・英国の一部

・フィジー

・グアム

・ハワイ

 など

狂犬病の発生地域(2019年)

[ 狂犬病発生状況 厚生労働省 狂犬病
[ 狂犬病発生状況 厚生労働省 狂犬病

世界中150カ国で存在します。

まとめ

日本では、犬の狂犬病の発生はないですが、密輸や何がしかの事故で、狂犬病ウイルスが日本に侵入する可能性もあります。グローバル化の時代になり、人やものや動物も早い速度で移動します。

コロナ禍で動物病院に行くのも面倒なので、狂犬病ワクチンを接種しなくてもいいかな、と思っていませんか。日本で発生させないためには、犬にワクチンを打って予防することが必要です。

世界には、エボラ出血熱、ノロウイルス感染症、風疹、デング熱、マラリアなどたくさんの感染症があります。人が克服できた感染症は、天然痘だけです。医学が進歩している日本ですが、それでも完治するのが難しい感染症があることが、新型コロナウイルスを通してよく理解できました。ワクチンがある狂犬病は、このような世の中なので、飼い主は速やかに犬に打ってあげましょうね。

以下にも書いています。

コロナ禍の中、感染症としての狂犬病 発症すれば致死率100%のリスクを今どう考える?

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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