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もし新型コロナウイルスにかかったら愛犬どうする? 獣医師がQ&Aで解説

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

新型コロナウイルスは、感染者が毎日、増えています(2月26日現在)。外を歩くと感染するのではないか、と不安です。犬の散歩に行く飼い主は、この犬がかかるのではないか、と心配ですね。病院で受けることが増えた質問を中心に解説していきます。

問1、新型コロナウイルスは、犬や猫に感染しますか?

いまのところ(2020年2月27日)、新型コロナウイルスは、犬や猫には、感染しません。飼い犬や飼い猫がかかったという報告は、出ていません。

問2、犬や猫にも以前からある「コロナウイルス感染症」があります。それは人に感染しますか?

犬のコロナウイルス感染症、猫のコロナウイルス感染症は、人にはうつりません(ウイルスは、一般的には、種の壁を超えることは珍しいです。もろろん、犬のコロナウイルス、猫のコロナウイルスは、いまのところ種を超えていません)。

犬のコロナウイルス感染症の症状は、主に下痢です。猫のコロナウイルス感染症は、始めの症状は下痢です。コロナウイルスが変異した場合に猫伝染性腹膜炎ウイルスになります。これに発病した猫は、命に関わりますが、人にはいまのところ感染した報告はありません。こちらの記事もご参照ください。

猫コロナウイルスの消毒方法 どんなタオルを使うかで動物病院の衛生管理がわかる?

問3、飼い主が新型コロナウイルスに感染しました。ペット(犬や猫)にはどのように接すればいいですか?

飼い主の新型コロナウイルスは、犬や猫にうつりません。人に感染するおそれがあるので、犬や猫の毛につかないように、新型コロナウイルスに感染した場合は、マスクや手袋をしてペットに接してください。散歩も行かず、他の人に行ってもらいましょう。そのときは、首輪やリードや犬の毛もアルコールで消毒してくださいね(犬や猫の目や口の中にアルコールが入らないように注意してください。直接、アルコールをかけないように。アルコールが乾くまでよく見てあげてくださいね。火気厳禁)もし、飼い主が入院するときも、同じように消毒してからお願いします。

問4、中国やウイルスが見つかったその他の場所からペットフードやオヤツを介して新型コロナウイルス感染症に感染することはありますか?

新型コロナウイルス感染症の主要な感染経路は

・飛沫感染

・接触感染

です。2020年2月21日現在、食品を介して新型コロナウイルス感染症に感染したとされる事例は報告されていません。

ペットフードやオヤツの一般的な注意点は、以下です。

・生あるいは加熱不十分な動物の肉・肉製品の消費を避ける。

・生の肉・肉類に触れるときは、手袋をするなど、衛生管理に気をつけてください。

問5、この時期、飼い主はどんなことに気をつければいいの?

・十分に衛生状態を保って、犬や猫と暮らす。

・猫は完全に屋内飼いにする。

・不安がある場合は速やかに獣医師に相談する。

・デマなどにとらわれることがないように、科学的に正しい獣医師会のHPなどを見る。

まとめ

獣医師が心配していることは、ネットでデマが広がり、犬や猫がウイルスを伝播することを恐れた飼い主によって遺棄されることです。いまのところ、新型コロナウイルスは、ペットはかかりません。もちろん、従来のコロナウイルスも感染例がありません。パニックを起こすことなく、冷静に対処してもらいたいです。飼い主もペットも衛生管理をしっかりして、安全に暮らしましょう。

以下を参考にしています。

WSAVAによる新型コロナウイルスと伴侶動物についてのガイドライン

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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