スーパーに求められる「俯瞰力」 新たなる一歩、イートインの進化 

イオンスタイル碑文谷店

急速に変貌するスーパー

昨年のスーパーの大きな動きとして「イートイン」があげられる。

消費税を見据え、各社、イートインを充実させ、これにより外食顧客を奪うことが目的とされた。スーパーでは、これまでイートインの席数は平均25席だったところから一気に倍の席にしたり、座り心地の良いソファを置き、天井を高くすることで日常生活の一コマにイートインを利用する。高齢者の行動範囲も狭まり、生鮮三品も揃うスーパーはイートインを設置することで、コンビニ、外食との差別化につながると考えているようだ。そして多くの場合、ベーカリー近辺にイートインを置かれている。

とはいえ、店舗内にある惣菜をイートインで食べるといったところまで至っていない。それ以上でもそれ以下でもない微妙な形で設置されているため、今もなお休憩場所となっているのだ。

広がるコンビニのイートイン

一方、既にコンビニでは急速にイートイン設置が拡大している。

ファミリーマートでは2014年には出店数の7割がイートインを設置済みで、昨年、統合したサークルKサンクスも同様に店舗に設置。セイコーマートではホットシェフにイートインを併設し、近場に飲食店が少ないことから今や外食顧客がイートインに流れ込んでいる。ローソン、セブンーイレブンも同様にイートインの設置済みも多くなっている。

そのように考えるとスーパーの席数の増加、居心地の良いだけでは差別化は難しいのである。

スーパーの取り組み

いずれにせよ単身者が増加し、高齢者も今や人口全体の26.7%(内閣府による)を占め、個食対応が求められているなか、コンビニがすでに個食対応となっている。事実、個食を購入する顧客、つまり単身者の半分はコンビニに流れているのだ。

スーパーもようやく本腰を入れて小ポーションを模索しつつある。しかし量目が少なすぎるなど、パックに盛り付けている量の加減がまだまだ理解できていないような提案が多い。

そこでイートインにプラス量り売り惣菜をドッキングさせることでコンビニ、そして外食の差別化になると考える。

理由として

・顧客それぞれの胃袋は多様化しており、カスタマイズする、つまり顧客自ら自分で決めた量をセルフでとり、イートインがあれば家庭での後片付けも楽である。外食でこれが可能な業態は、ブッフェ・回転寿司のみであり、外食への差別化、勿論、コンビニへの差別化にもつながるからだ。

ということで詳細については「フードビズ82号」で述べているので、もしもよろしければ・・・

そして今もなお、関西、関東とスーパーの新店を見ると模索しながらもイートインは進化中なのである。

昨年のイートインの動き、スーパーでは・・・

G量り売りとイートインの席数を多くして、これまでにない売り場を作り上げたのがイオンスタイル板橋前野店である。

フードコートのような店舗を量り売り惣菜100g198円の周辺に点在させ、オリジナル店舗が11店舗配置。席数は351席とこれまでにないイートインを作り上げ、そのスケールの大きさをみて驚きを禁じ得なかった。その後も何度か定点観測しているが、いつどんな時間帯に行ってもある程度の顧客がおり、年齢層の幅も広い。

イオンスタイル板橋前野店
イオンスタイル板橋前野店

11店舗のなかでワインも飲める「ラドロゲリア」

ラドロゲリアで盛り合わせを頂く、白ワインとともに
ラドロゲリアで盛り合わせを頂く、白ワインとともに

ちなみに税込680円のオードブルの盛り合わせと白ワインを頂いた。メニューは以下の通り。

ラドロゲリアメニュー一覧

この他にブルーミングブルーミー、ライフ、そしてベニマル。

関西では、阪急オアシス吹田片山店などがg量り売り惣菜を上手に配置し、イートインに導いている。

阪急オアシス吹田片山店
阪急オアシス吹田片山店

更なる進化 イオンスタイル碑文谷店

しかしここにきて更なる進化を感じさせる店が登場した。それがイオンスタイル碑文谷店である。昨年、12月17日にオープンした。元はダイエーでそれをイオンスタイルに変更した。碑文谷に住んでいた方に聞くと「ハレにも使える高級スーパーだった」と懐かしく語られる。場所的にも高所得者層が多く、嘗てダイエーだった頃は、年商200億の売り上げを超える超繁盛店であった。日本のなかで最も売るスーパーとして当時は話題となったそうだ。しかしGMSが低迷し、それに伴ってダイエーも衰退の一途をたどり、イオン傘下となった。今回「イオンスタイル碑文谷」として再スタートしたのである。現在、1階から4階までオープンしている。

惣菜売り場では、餃子の一個売り、そして焼き鳥も立てて販売したり、パック販売するのではなく、大皿に1本ずつ販売され、従業員自らが注文を受けてとり、量り売り惣菜も顧客がショーケースを見て注文する。さながらデパ地下の売り場のようである。なかでも見ているだけでも面白く、自然と会話ができるのが、ニューヨークで人気のチョップドサラダ「Salabits」。目の前でマルチチョッパーを使って細かく野菜を切ってくれる。

店舗内で製造されたドレッシングも工場では作れない鮮度感あふれる味付けとなっている。

ポーズをとる従業員の方、
ポーズをとる従業員の方、

「この間、頂いたんだけどドレッシングが少し足りないように思えた」

「了解しました、改善します」

さて出来上がったサラダを持って、2階へ。

イートインはスタバと隣接した形でバルがあり、40席ある。フロアが違うところにあるため、果たしてと思ったがいずれの時間帯もいろいろな年齢の顧客がくつろぎ購入した惣菜を食べている。

スタバと隣接している
スタバと隣接している

周辺には高級ワイン、碑文谷オリジナルの酒が並ぶ。

デパートの顧客をも視野に入れて

見学する前は、イートインと惣菜売り場が違ったフロアであることから、果たして大丈夫なのか、と危惧した。しかし2階のイートイン周辺にはワインが1500アイテムあり、オリジナルワインも「碑文谷ワイン」として陳列。酒なども生酒がおかれ、バルでは3種の飲み比べができるビールが置かれている。この他の商品、例えば衣料を見ると、パジャマなどの価格は1万以上、デパートで販売されているような高級な商品の品ぞろえとなっている。デパートは今、苦境で近々の1月を見ると、前年同月比1・2%減で、11カ月連続マイナスとなっており、関係筋によると、近隣、例えば二子玉のデパートの顧客をも視野にいれた売り場を模索しているとのこと。

これまでスーパーはコンビニへの差別化を模索し、今では外食そしてデパートまで立地によって顧客を奪取することに懸命になっている。今回、売り場をとおし、スーパーにますます求められることは「俯瞰力」であり、これを持っている企業、スーパーが生き残れるのではないだろうか。