買い物弱者の現状 なかでも高齢者の増加が著しい

2016年、内閣府の調査によると、高齢者の17%が「買い物に不便を感じている」と回答した。

その数を推計すると、買い物弱者、しかも高齢者は全国で700万人に達し、2010年の600万人と比較すると、増加している(経済産業省)。

そもそも「買い物弱者」とは

住んでいる地域で日常の買物をしたり、生活に必要なサービスを受けたりするのに困難を感じる人たちのこと

生鮮食料品店までの距離が500m以上 かつ自動車を持たない人を買物困難者としている。

(METI/経済産業省参照)

つまり、500m範囲以内に生鮮食料品店があれば、一応、困らないとされていた。ちょっと詳しく申し上げますと、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則で1分80mと定められており、5分だと400m。それより少し範囲を広げた設定と言える。しかし、これはあくまで健常者であり、高齢化が進むにつれ、行動範囲も狭くなる。そのため、今後はより狭い範囲での現状を知ることが必要となるだろう。

車についても車を持たない以前に、車の運転ができない人口の増加が考えられる。

事実、65歳から体力の低下が目立つと言われる。

一例として、65歳から急激に自動車事故が増加していること。実際、視野検査の結果、左右90度で見えていることが望ましいとされる。しかし、65歳になると60度となってしまい、当然のことながら、交差点の見落としにもなる(クローズアップ現代)。

さらに75歳になると、多くの場合、体力がより低下し始める。団塊世代は、10年後、75歳以上となり、自ら運転できない人口が一気に増え、先に述べた行動範囲が狭くなってしまうのだ。

買い物弱者から栄養事情の悪化、日本でも・・・

買い物難民による低栄養問題は以前から言われ、医療費、介護費も比例して増加する。

イギリスを事例に挙げると、低栄養な食事をつづけたことにより、年間約7000人の死亡となり、これが原因で国民年金から支払われる額は20億ポンド(3700億)に達するとされる(経済産業省参照)

日本でも調査が行われている。

栄養学の専門家の協力を得て水戸のフードデザート(食の砂漠地)エリア在住の高齢者の食生活を調査(食品接種の多様性調査)。

十分な栄養を摂取出来ていないと推測される世帯が,全体の49%に及んだ.単身・夫婦二人で自家用車を利用しない世帯に限定すると,同値は60%を上回った(2009 年実施,有効回答215 世帯)(「フードデザート問題の現状と対策案」岩間 信之参照)

これまでも低栄養、つまりメザニンシニアについては、述べたことがある。買い物の難民の増加に伴い、低栄養、介護予備軍が急増するであろう。

コンビニ店舗数の拡大により解決策の糸口に、より要にも・・・

とはいえ、解決策の一つにコンビニがある。今では5万店以上、全国にあり、インフラ化したことで、買い物難民への問題解決策に大いに貢献している。「今後、ますます重要となる」と三井住友トラスト基礎研究所 投資調査第2副主任研究員 竹本遼太氏はその理由を述べている。

竹本氏によると、コンビニでの全国のカバー率は68%とされている。しかし前述したように範囲は500m圏内、1分80mとしての計算での数字であり、300m圏内だと39%に過ぎない(月刊コンビニ2016年3月号)。

宅配参入も微減

以前、よく話題にあがった「宅配」「移動販売車」なども買い物難民対策の一つであり、一時期、続々、参入し華やいだ時期もあったが、今は微減である。

日本食糧新聞社の記事を紹介すると・・・

「買い物難民」の増加など食料品アクセス問題に関して2015年のアンケート結果を公表(農林水産省)。

1184市町村のうち959市町村が問題への対策が必要と回答。既に611市町村が対策をこうじている。

「宅配」「移動販売車」などで民間事業者が参入しているのは、14年度と比較すると、微増。しかし13年度より10ポイント下がっている(日本食糧新聞社3月4日)。

宅配の難しさ、ピッキング、物流問題

理由の一つに、これまで多くの参入企業は、店舗内でのOPの延長線上でピッキング、配送まで行おうとしたため、利益構造が作りあげられなかった。当然、仕組みを構築しなかった企業の多くは、途中で頓挫したのである。最近では、それを知ってか、慎重な姿勢になり、10ポイント下がったのではないだろうか。

これまで、スーパーが1店舗出店することで、その周辺に住民が集まり、街が形成された。そのような人の移動は、高齢化するに従い、難しくなってくる。それを踏まえ、高齢者心理も留意し、人と人とのつながるシステムが必要とされ、大変な作業ではあるが、地道に問題を崩していくしかない。よく言われるコンパクトシテイ化も大切であり、これにより物流経費も大幅に削減される。