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初土俵から3年、21歳の熱海富士が初優勝に王手! 混沌の大相撲秋場所を制するのは誰だ いよいよ千秋楽

飯塚さきスポーツライター
熱海富士(写真左)がついに優勝に王手をかけた(写真:毎日新聞社/アフロ)

混沌の大相撲秋場所。本日ついに千秋楽を迎えた。11勝3敗でトップを走るのは、21歳の熱海富士。今日、初顔合わせとなる朝乃山との一番を制すれば、その時点で初優勝が決まる。

熱海富士が単独トップに

14日目、熱海富士は阿炎と初対戦。一度立ち合い待ったがあったが、若き熱海富士は冷静だった。

立ち合いで、阿炎が大きく左に変化。しかし、熱海富士はこらえて相手に向き直った。右を差し込んでガッチリと捕まえると、胸を合わせてそのまま寄り切り。奇襲にも動じず、素晴らしい相撲を取り切った。

小学生の頃は柔道と野球に打ち込み、6年生のときに初めて地域の相撲大会に出たことで相撲を始めたという熱海富士。相撲の強豪として知られる静岡県の飛龍高校では、新型コロナウイルスの影響でほとんど大会に出られなかった。高校3年生の11月で初土俵を踏んでから、わずか約3年。頂上からの景色を、いままさに見ようとしている。

4敗の4人にも優勝のチャンスが

同じく3敗でトップに立っていた大関・貴景勝は、7敗で後がない新大関・豊昇龍と対戦。貴景勝が先に手をつき、立ち合い。当たりは互角に見えた。貴景勝はとにかく相手を突いていくが、豊昇龍はよく見て対応する。一度土俵際に豊昇龍の足がかかったところで、丸い土俵をうまく使って後ろに回り込みながら、華麗な上手投げが決まった。運動神経抜群の新大関・豊昇龍らしい動きが見られた。

貴景勝が敗れたことで、熱海富士はまた単独トップに躍り出た。今日の相手は、元大関の朝乃山だ。大一番に勝ち、この若さで賜杯を抱くのか、対する朝乃山は星を伸ばして三役に返り咲けるか。

また、もし熱海富士が敗れてしまうと、4敗の4人にも優勝の可能性が出てくる。貴景勝と大栄翔は直接対決。さらに高安、北青鵬にもチャンスがある。千秋楽まで誰も予想できない展開。歓喜と祝福は誰のために――筆者も楽しみにしている。

<参考>優勝争いの行方

▽11勝3敗 熱海富士

▽10勝4敗 貴景勝、大栄翔、高安、北青鵬

・熱海富士が朝乃山に〇 → 熱海富士の優勝決定

・熱海富士が朝乃山に● → 4敗勢の勝者(最大3名)との優勝決定戦

スポーツライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

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