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米CDC、ハワイの新型コロナ感染リスクを“低”から“中”に引き上げ GWの日本人観光客は要注意

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:イメージマート)

 3年ぶりに行動制限なしのゴールデンウイークとなり、日本人観光客が昨年の5倍以上に増加しているハワイ。そんな中、同地に観光に訪れている人々に、気に留めてほしいことがある。それは、新型コロナウイルスによる市中感染リスクを、低(グリーン)、中(イエロー)、高(レッド)の3段階に分類して感染予防を促していた米CDCが、4月28日、ハワイ州の4つの郡の市中感染リスクを“低”から“中”へと引き上げたということだ。具体的には、ホノルル郡、ハワイ郡、マウイ郡、カウアイ郡が、“中”(イエロー)の市中感染リスクのカテゴリーへと引き上げられた。

 米CDCのサイトで、アメリカ各地の感染リスクの段階を確認することができるが、リスクが“中”となったハワイ州ホノルル郡の場合、「ワクチン接種を最新化すること、症状がある場合は検査を受けること、症状があったり、検査で陽性となったり、感染している人と接触したりした場合はマスクを着用すること、公共交通機関ではマスクを着用すること、自身や他人を守るために追加的予防策として常時マスクを着用する選択をしてもいいこと、重症化リスクがある場合は公共施設の屋内でのマスク着用を考慮すること」が推奨されている。

米CDCは市中感染リスクを3段階に分類。ハワイはグリーンの低リスクからイエローの中リスクへと引き上げられた。米国東部には、レッドの高リスクの地域もある。出典:CDC
米CDCは市中感染リスクを3段階に分類。ハワイはグリーンの低リスクからイエローの中リスクへと引き上げられた。米国東部には、レッドの高リスクの地域もある。出典:CDC

 ちなみに、CDCは、使用されているベッド中新型コロナの入院患者のベッドが占める割合、過去7日間の人口10万人当たりの新規入院患者数、過去7日間の人口10万人当たりの新規感染者数という3つの要素を考慮して、アメリカ各地の市中感染リスクの程度を判断している。

 ハワイ州保健局の4月27日の発表によると、4月19日〜25日の間、同州では3370人が新規に感染。1日の平均新規感染者数は362人で5週連続で上昇している。陽性率も6週連続で増加して9.1%となっている。入院患者数も前の週の36人から51人へと増加した。

 また、ハワイ州でも、ニューヨーク州など米国東部で感染が広がっている、オミクロン株BA.2.12 とBA.2.12.1による感染が確認された。

 同州の知事デビッド・イゲ氏は「新型コロナはなくならない。実際、感染者数は増加しており、専門家は新型コロナは当分の間、我々と共存すると予想している。新型コロナは、感染症の一つとして、医療提供者が診断して治療する他の病気により近い形で対処されることになるだろう」と言及し、ワクチン接種を促している。

感染リスクが、低リスクから中リスクへと引き上げられたハワイ州の感染拡大状況を示すグラフ。出典:State of Hawaii, Department of Health
感染リスクが、低リスクから中リスクへと引き上げられたハワイ州の感染拡大状況を示すグラフ。出典:State of Hawaii, Department of Health

 CDCは、各段階での感染予防対策を紹介しているが、“中”(イエロー)段階の市中感染リスクの場合、以下を推奨している。

・重症化リスクが高い人々の場合は、マスクを着用したり他の予防策を講じたりする必要があるかどうか医療提供者に相談すること。必要なら、ラピッド検査を計画すること。


・重症化リスクのある人が家庭内にいたり、重症化リスクがある人とコンタクトする場合は、コンタクトする前に感染しているかどうか家庭用検査キットなどで検査をしたり、彼らと屋内でコンタクトする場合はマスクを着用すること。

・新型コロナのワクチン接種を最新化していること。最新化とは、ワクチン接種の対象となっている場合、最初のワクチン接種を完了し、さらにブースター接種を1回受けていること。(2回目のブースター接種については、現段階では最新化として考慮する必要はないとあるので、受けている必要はない)

・症状があれば検査を受けること。

 ちなみに、低(グリーン)段階では以下を推奨。

・新型コロナのワクチン接種を最新化していること。

・症状があれば検査を受けること。

 また、高(レッド)段階では以下を推奨。

・ワクチン接種の有無にかかわらず、公共の屋内施設ではマスクを着用すること。

・新型コロナのワクチン接種を最新化していること。

・症状があれば検査を受けること。

・重症化リスクが高い人々は、追加的予防措置が必要となる可能性があること。

 ハワイ滞在中の人々は、同地で感染が拡大傾向にあることを気に留めつつ、感染予防に留意しながら休暇を楽しんでほしい。

(参考)

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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