日系人や日本人が多数居住する、ロサンゼルス郊外のトーランス市で、憎悪犯罪(ヘイトクライム)が相次いでいる。

 調理器具を販売している日本人経営の店も、憎悪犯罪の被害を受けた。

 米国時間6月15日、店の従業員が、「店を爆破する」と記された脅迫状が店頭に貼られているのを見つけたのだ。NBCニュースで公開されたその脅迫状には、あまりにも酷く、恐ろしい人種差別発言が記されている。日本人としては、目を覆いたくなる文面だ。ツイッターでは「小学3年生が書いたような文面だ」など文面の稚拙さも指摘されている。

「ここはアメリカだ。おまえが売っているものは何もいらない。

ここはアメリカだ。おまえが売っているオーセンティックなくだらない物は何もいらない。出て行ってほしい。

言うことを聞かないなら、店を爆破するぞ。住んでいるところはわかっているんだ。

おまえの居場所に帰れ。

日本へ帰れ、猿! おまえらがいると気分が悪くなって、反吐が出る。

今やるぞ、帰れ、国に戻れ。

おまえの店が憎いんだ、ここから出て行ってほしい。

言うことを聞いた方がいい、言うことを聞かないと大変な問題が起きるぞ。

おまえはアメリカにいるということを忘れるな。我々はやりたいことは何だってできるんだ。

そもそも、なぜここにいるんだ?

おまえらの食べ物は家で料理しない、特におまえらの食べ物はな。

おまえの店はここにいてほしくない。帰ってほしい。国に帰れ。

警告!警告!警告!」

 トーランス市警は、現在、この憎悪犯罪を調査中だ。

 同店のオーナーは日本で何十年にも渡ってビジネスをした後、63歳の時、アメリカに移住。9年前に店を開業した。NBCニュースに対して、「あのような脅迫状を見て失望した。アメリカが大好きだから。アメリカに移住して以降受けた最悪の人種差別だ」と話している。

 トーランス市では、先週も、憎悪犯罪が起きていた。

 米国時間6月10日、同市にあるウィルソンパークで、ロングビーチに住む白人女性レナ・ヘルナンデス(56歳)が、ワークアウト中の若いアジア系の女性に「自分がいたアジアの国に帰れ。ここはおまえのいるところじゃない。ここにはいるな」と人種差別発言を吐いている動画が撮られ、拡散された。

 また、同じヘルナンデスが、同じ6月10日に「国に帰れ」とアジア系の父子を嘲っている動画も投稿された。

 ヘルナンデスはまた、昨年10月、同市のモールで、守衛に暴言を吐き、それを止めに入った女性に肉体的攻撃を加えた事件を犯した女性と同一人物ではないかと疑われている。トーランス市警は彼女の行方を捜査中だ。

 トーランス市は、人口の30〜40%がアジア系やアジア太平洋諸島系の住民で、200社以上の日本企業の本社が立地しており、日本食レストランや日系のショップも多数ある。日本人と関係が深い同市で相次ぐ憎悪犯罪に、在住の日本人からは「怖い」「ショックだ」「悲しい」「またトーランスで起きたのか」など不安の声があがっている。

 フロイドさんの事件を契機に、ブラック・ライブス・マター(黒人の命は大切だ)の社会運動が高まる中、先日、白人富裕層が多数居住するオレンジ郡ニューポートビーチで起きた平和的な抗議デモでは、白人男性が「黒人の命は大切ではない」と叫び、銃を空に向けて撃つ光景が撮られた。

 メリーランド州では、白人男性が、ブラック・ライブス・マターを訴えるビラを貼ろうとしていた10代の女の子の手から、ビラを奪い取って逃走する動画が拡散され、後にその男性は逮捕された。

 

 筆者も、先日、白人男性が、木に貼られていた「白人の暴力を終わらせろ」と記されたビラを剥ぎ取る光景を目撃した。

 人種差別問題を訴える声が高まる中、それに反発する人々もいる。アメリカは、人種差別をめぐって起きている対立や緊張をどう解決していくのか?