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ソーシャルメディア勢力図を俯瞰する(前編)

小川浩株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。
Social Media Map

FacebookのDAU(デイリーアクティブユーザー)は、2013年3月に6.65億人に達した。MAU(マンスリーアクティブユーザー)は11億人を超えている。日本国内のMAUは2000万人という。

いまやソーシャルグラフベース(=実名でつながっているSNS)でFacebookの唯一のライバルといえるGoogle+は、同時期でMAU3.5億人程度とみられる。基本的にはFacebookとGoogle+のユーザーはかなり重複していると思われるが、事業的にはそれはどうでもよい。アクティブユーザーがあって、PV=トラフィックを発生させていれば広告収入が成立するからだ。グッチを購入する客がシャネルを購入してはいけないことはない、どちらのブランドにおいても上客であればよいのだ。

ところが、FacebookもGoogle+も同じく直面する問題点がある。それは若年層からの支持を急速に失っているということである。理由は簡単で、両親や教師、上司などからのアクセスを拒否できない、実社会そのもののような窮屈な環境となったFacebookやGoogle+などのメガSNSで、自分たちの日常的な会話や画像を公開することを若者がいやがっているからだ。親と同席したカップルが無口になるのは当然である。

とはいえ、もちろん若者たちも、この両メガSNSから離脱することはない。メガSNSはいまやインターネット上のDNSであり、自分自身の社会的アイデンティティを証明するための場所である。人脈づくり、平たく言えばコネを利用するのに必要な空間であることは若者たちも理解している。

しかし問題は、登録はしているけれどアクティブではない若者が増えることで、徐々に新陳代謝と活気を失ってくることが目に見えていることだ。

実際、海外においてはFacebookやGoogle+に写真を投稿する代わりにSnapchatやInstagramなどへの投稿を選ぶ若者が多くなり、さらにコミュニケーションの手段としてはWhatsAppやLINEなどのメッセージングサービスを多用するようになっている。日本国内をみると、もはやmixiは和製メガSNSとはとても言えず、LINEのひとり勝ちになった。米国で若年層にとってのポストFacebookは、Instagram、Snapchat、Path、Pheed、Pinterest、Vineなど、多種多様な新しい活発な市場を形成しはじめているが、日本国内ではLINE自体が多様化することで単体での受け皿になりつつある。

しかし、これはLINEにとっては危険だし、ポストFacebook市場という意味では健全ではない。LINEがすべてのFacebookから流出する若年層の受け皿になることは、追ってやってくる中高年層の受け皿にもなり、やがてはFacebook同様に若者がまたも逃げ出すような環境へと“汚染”されるからだ。

敢えて汚染と書いたが、今でもすでに、LINEではオトナの侵入が激しくなり、子供のタイムラインを覗き込む親が増えているという。ガラケー時代のCroozや前略プロフィールなどの中高生向けサービスは、スマートフォンへの移行の中で衰退したとはいえ、それまではオトナの利用はほとんどなく、汚染を免れてきた。LINEは一気に利用者が増えていることと、前述の通り、すべてのFacebook倦厭者のトラフィックの受け皿になることによって、現在のFacebookと同じリスクを負うことになりかねない。

via MdN Interactive

株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。

複数のスタートアップを手がけてきた生粋のシリアルアントレプレナーが、徒然なるままに最新のテクノロジーやカッティングエッジなサービスなどについて語ります。

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