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アジア市場に挑戦するスタートアップとして

小川浩株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。
倖田來未専用SNSは2週間単位で進化している

ご存じの方も多いとも思うが、僕は再び今までと全く異なるインターネットビジネスの実現を目指して、新たにスタートアップを興した。

僕は初めて起業して以来、周囲からは「小川さんの作るものは10年早い(だから周りから理解されづらい)」「時代が追いついたころには小川さん自身が飽きてしまうw」などと揶揄されてきた。例えば、1999年には英語と日本語を自動で切り替える(もしかしたらアジア初の)SNSを作り、ポイント獲得サイトを作った。12年前には音声認識エンジンを使って、音声による自然発話的なUIを持ったカレンダーサービスを作ったが、特定の利用シーンに限ってはいるもののSiriよりもずっと効果的なできばえだった。ちなみにこの音声サービスのエージェントはmomoと名付けていた。(Siriの前にはmomoがあったのだ、とここ最近呑むたびに繰り返すジョークのネタになっているが、本当の話だ)

今回のスタートアップはRevolverという。社名とサービス名が同じなのはGoogleにならってのことだ。サービスは写真共有型でPinterestに近いトンマナを持つソーシャルネットワークだが、Pinterestと違うのは、自社メディアではなく、他者向けのOEM型モデルであり、B2B2C型の事業であるという点だ。利用希望者はRevolverと契約してテナントを作り、独自ドメインにマッピングして自社ブランドとしてオリジナルのソーシャルネットワークサービスを運用できる。

現在はマーケティング戦略の観点から、芸能人・アーティストなどの著名人向けに絞り込んでおり、2012年11月の時点で倖田來未さん、AKB48の板野友美さん、人気声優の岸尾だいすけさんが参加して、独自のSNSでファンとの交流を進めている。多言語対応&スマホ完全対応であり、30%くらいは海外からのアクセスで、さらに60%のトラフィックはモバイル経由だ。

今回、僕はこのRevolverを起すにあたり、以下の点に留意・徹底している。

  • 最小ユニットでの運用→現在わずか4名の小所帯。
  • 自前のオフィスは持たない→インキュベーションセンターに間借り中。
  • 開発は完全自社で→わずか2名のエンジニアがフル回転して開発中。
  • プロダクトファースト→会社の遺伝子に組み込まれた最優先事項は誰よりも速い開発。開発速度を損なうような因子は全てカットする。
  • モバイルファースト→モバイルでの表示を考えてからPCをちょっと考えるw。
  • アジアドメイン→日本国内のマネタイズより、アジア市場への拡大と急成長を優先する。

現実に、2012年7月末の創業以来、わずか1ヶ月後にサービスインし、その後2週間単位でバージョンアップを繰り返してきた。実は昨日にコンテンツの翻訳機能を、ついさっきスマホ用のUIの改善を行ったばかりだ。

僕は著書「ネットベンチャーで生きていく君へ」で、スタートアップのつらさと、それを帳消しにすることができるかもしれない成功のダイナミズムを詳細に記したが、自らそれを再び実践に移している。そして、本に書いたことよりもさらに過激に、徹底したリアルスタートアップの手法を取り入れて、あたかもレーシングカーがカーナビもエアコンもオーディオもなく、さらに最小限の燃料だけを積んで、ただ走ることだけに限定された奇形のクルマであることと同じように、ただ開発し、成長を目指すだけの、それ以外の機能を全く持たない異形の企業としての会社を作った。

その結果として、全てのお客様があっけにとられるほどの高速開発を実現し、世界のソーシャルネットワーク企業に御していけるだけのプロダクトを作りつつある。

この試みが首尾よくいくかどうかは神のみぞ知るだが、少なくとも僕の本を読んだ人が「書いてあることと違うじゃないか」と僕をなじることが絶対にできない、それどころか、書いてある内容の上を行く、ベンチャースピリットの権化となるべく、ひたすら開発に打ち込んでいる。

他人の批評を記事に書くのは楽だが、やはり自分でやってみたい。今後、その過程をちょいちょいここでも紹介をさせてもらうつもりだ。

株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。

複数のスタートアップを手がけてきた生粋のシリアルアントレプレナーが、徒然なるままに最新のテクノロジーやカッティングエッジなサービスなどについて語ります。

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