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台風19号 強い勢力で東北地方直撃へ

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
10日15時の気象衛星画像(ウェザーマップ)

 きのう10月9日、気象庁は緊急の会見を開き、台風19号への厳重な警戒を呼び掛けました。接近する3日も前に、このような会見を開くことは非常に珍しいといえます。それだけ、今回の台風は影響が大きくなるということが、会見のタイミングからも伺えます。

 台風19号は、10日18時現在、小笠原諸島・父島の南西の海上にあります。依然として「大型」で「猛烈な」勢力を保っており、台風としては最強クラスです。予報円が小さくなってきたことから、進路はほぼ固まってきたといえます。今後は「非常に強い」勢力を保ったまま、12日(土)午後~13日(日)にかけて、紀伊半島~東日本に接近または上陸する見込みです。

 今回の台風19号は、先日、千葉県を中心に暴風による甚大な被害をもたらした台風15号と比べても、はるかに強い勢力となります。さらに大きな影響が出ることが予想されます。

10日18時時点での台風19号の進路予想図(ウェザーマップ)
10日18時時点での台風19号の進路予想図(ウェザーマップ)

「強い」勢力で東北地方を直撃へ

 台風は、陸地に入ると水蒸気の供給が遮断されるため、次第に弱まる傾向にあります。ただ、今回の台風19号に関しては、接近時の勢力が非常に強いため、多少型崩れしたとしても、強い勢力を保ちます。東北地方に来る頃には弱まるという考えは通用しません。ここ数年に接近した台風の中では、最も影響が大きくなることが予想されます。

 現時点(10日夜)での予想雨量は、11日(金)18時~12日(土)18時までの24時間で、東北南部で100~200ミリ、東北北部で100~150ミリ(いずれも多い所)。ただ、雨が本格化するのは、これ以降の時間帯とみられるため、雨量はここから大きく増える見込みです。土砂災害や河川の増水・氾濫のおそれが高まります。また、広い範囲で暴風が吹き荒れ、海は大しけとなります。

13日(日)午前0時の雨と風の予想(ウェザーマップ)
13日(日)午前0時の雨と風の予想(ウェザーマップ)

11日(金)までに備えを

 11日(金)は、台風の北側にある前線の影響で東北地方は雨が降りますが、まだそれほど強まることはなく、風も弱いです。今回は、12日(土)夜~13日(日)の朝にかけて東北地方に接近・通過する見込みで、夜の時間帯が雨・風のピークとなりそうです。そうなった場合、停電が起きれば、非常に大きな影響が出ます。今のうちに非常用品などを揃えておくことが重要です。

 また、外が暗い時間帯での避難行動は困難になります。ハザードマップを確認し、もし自宅が土砂災害などの危険がある場所であれば、ひどくなる前に安全な場所に避難することも検討していただきたいと思います。

 今回の台風は、いつもとはまるで強さが違います。普段よりも一段階、二段階上の警戒が必要なのは間違いありません。

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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