競泳日本一決定戦が始まる!

入江陵介(イトマン東進)(写真:田村翔/アフロスポーツ)

世界一厳しい代表選考会

 本日4月3日から辰巳国際水泳場にて、第94回日本選手権水泳競技大会が開幕する。競泳日本一決定戦であり、日本代表選考会でもある。競泳の代表選考会は、一発勝負。日本選手権で日本水泳連盟が定めた派遣標準記録を突破し、各種目2位までに入らなければならない。「世界一厳しい選考会」とも言われている。五輪金メダリストでもあっても、どんなに実力があっても、この日本選手権で失敗すると日本代表チームからは外れてしまう。選手にとっては、最も重要な大会だ。

五輪中間年の過ごし方

 今年は五輪の中間年。結果を残してきたトップスイマーにとっては、モチベーション維持など、心身共に難しい時期だ。しかしこの中間年、課題を持ち、大切に過ごすことによって、今後の伸びが決まると言っても過言ではない。

 五輪を見据えて、2年前だからこそチャレンジできるフォーム改革をはじめ、新しい練習方法の模索、どんなレースにも対応できるよう、前半勝負や後半勝負といったレース展開の引き出しを増やすことも、今だからこそできるチャレンジだ。

 ベテランになればなるほど、新しいことを始めるのは勇気がいる。しかし五輪の中間年、思い切り攻めの姿勢で突き進んでほしい。

入江陵介のチャレンジ

 新しい世界でチャレンジを続けているのが、28歳、キャリアを重ねた入江陵介(イトマン東進)だ。リオデジャネイロ五輪後、単身米国へ留学。「アメリカでの生活も2年目に入って、環境にも慣れて、言葉の壁もなくなってきました。自分で修正点も考えながら泳げています。パワーも付きましたし、体も一回り大きくなったと思います。」と新境地を切り開いている。

 長年染みついた生活、練習環境を変化させることは、不安も大きかっただろう。しかし入江の表情は活き活きとしていて明るい。「日本にいるとマイナス探しをしてしまうのですが、アメリカは結構褒めてくれることが多くて自信になります。」と新しい環境での変化を楽しそうに口にした。

 今年に入ってから泳ぎも安定し、好調を維持している入江。200mが強い印象のある入江だが、留学によって、苦手としていたバサロキックの強化が進み、スピードも手に入れている。入江がどんな泳ぎを見せてくれるのか期待したい。

酒井夏海のチャレンジ

 五輪の中間年の楽しみは、ベテランだけではない。ニューヒーロー、ヒロインの台頭は見逃せない。高校生スイマーであり、日本のエースに成長した池江璃花子(ルネサンス亀戸)を筆頭に、今井月(豊川高校)の更なる飛躍も楽しみだ。同時に、彼女らに続く若手スイマーの日本代表入りも、東京五輪、それ以降に向けても重要になる。

 中学3年時にリオデジャネイロ五輪を経験した背泳ぎの酒井夏海(スウィン南越谷/武南高校)は、今大会、強い気持ちを持って挑む覚悟だ。五輪後は思ったような練習が詰めず、昨年は日本代表から落選。大粒の涙を流し、自身の練習不足を反省した。その悔しさから練習に対する取り組み方が変化。弱点である上半身の強化にも積極的に着手、175.8cmの長身を活かした大きな泳ぎに力強さが増した。その成果として、昨夏には、50、100、200mで自己ベスト記録を更新。今年に入っても好調をキープし、「今回はしっかりベストを出したいです。そして日本代表になりたいです。」と落ち着いた表情で話した。

女子背泳ぎの救世主へ

 日本の女子背泳ぎは、寺川綾が引退後、世界から遅れをとっている種目である。昨年は女子背泳ぎで、派遣標準記録突破者がゼロ。その結果を受けて、花形種目である世界選手権でのメドレーリレーの派遣が見送られてしまった。女子背泳ぎ陣にとっては、大きな衝撃となった。

 現在、女子背泳ぎには、諸貫瑛美(ミキハウス)らのベテラン勢を含めて、期待できる選手がいる。その中で一歩抜け出しているのが酒井だ。女子背泳ぎの救世主へ。高校2年生になった彼女の積極的なレースを期待したい。

世界へ向けて

 今夏は、第18回アジア大会、第13回パンパシフィック大会といった国際大会が目白押しだ。東京五輪へ向け、どこまで自身の記録が伸ばせるのか、そして世界舞台の経験を積めるのか。それぞれのレベルをアップするための五輪中間年。世界を見据え、攻めの姿勢で戦ってほしい。