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直近では中国30.3%、米国13.4%…1971年以降の世界の二酸化炭素排出量比率推移

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
経済活動ではどうしても生じてしまう二酸化炭素(写真:イメージマート)

温暖化に深く関連する問題として注目されている二酸化炭素の排出量。その推移を国際エネルギー機関IEA(The International Energy Agency)の最新公開資料(※)を基に確認する。

まずは世界全体の総量、そして主要国(直近年時点で排出量上位国)の経年における二酸化炭素排出量推移。1971年以降、および1990年以降に関し、その推移をグラフにする。

↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、世界総量、億トン)
↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、世界総量、億トン)

↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年上位国のみ、億トン)
↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年上位国のみ、億トン)

↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年上位国のみ、億トン)(1990年以降)
↑ 世界の二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年上位国のみ、億トン)(1990年以降)

中国の急上昇ぶり(増加率、増加量)やアメリカ合衆国の昔からの値の大きさ、そしていくつかの先進諸国における技術革新・公害対策などによる効果が出て値が減っているのが確認できる。日本やドイツは元々排出量が(今グラフ中では)少なめなポジションなのに加え、それでもさらに値を削っているのが見て取れる。

なお中国とアメリカ合衆国の順位が入れ替わったのは2006年。この時アメリカ合衆国は59.2億トン、中国は64.6億トンだった。

また2020年において中国以外の国が新型コロナウイルス流行の影響で経済が低迷し、結果として二酸化炭素排出量を前年比で減らしているのに対し、唯一中国のみが増やしている実情が確認できる。

続いて全世界比の推移。こちらは冗長に過ぎることもあり、1990年以降に限定する。

↑ 世界の二酸化炭素排出量比率(IEA調べ)
↑ 世界の二酸化炭素排出量比率(IEA調べ)

世界全体の排出量との比率の上でも、中国の増加、アメリカ合衆国の漸増から漸減への転換、インドの漸増が見て取れる。またドイツや日本は漸減状態にあることが確認できる。特に中国は確実にその値を増やしているのが容易に把握できる状況となっている。

なお日本が2011年以降わずかだが排出量が増加に転じたのは、震災起因による発電方式の状況変化に伴い、二酸化炭素排出量が増えているのを受けての結果である。先行別途記事で解説しているが、特に天然ガスの燃焼による増加が著しい。もっとも2014年以降は再び減少の動きとなっている。

最後に「国民一人あたりの」二酸化炭素排出量推移。

↑ 一人あたりの二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年排出量上位国、トン/年)
↑ 一人あたりの二酸化炭素排出量(IEA調べ、直近年排出量上位国、トン/年)

アメリカ合衆国は高めの水準だったが、じわじわと値を落としていること、ドイツや日本も同様に今世紀に入ってからは削減効果が出始めていることが読み取れる。ただし日本においては、2011年以降は一時的な上昇。東日本大震災による電力事情の影響が出ていた。

一方、中国の上昇ぶりも注目に値する。同国の人口を考慮すれば、この傾斜が何を意味するのか、今記事一つ目のグラフと照らし合わせれば容易に理解できるはずだ。また、人口の観点で考慮すると、今グラフでは傾斜こそゆるやかで一人あたりの値も低いものの、インドの動向も気になるところではある。

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※IEAの最新公開資料

具体的には「Greenhouse Gas Emissions from Energy Highlights」。現時点では2023年発行分で、2021年時点のデータが最新。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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