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9月は防災月間だから ミネラルウォーターやカップ麺はどの地域で買われているのか大検証(2022年版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
ミネラルウォーターはどの地域でよく買われているのだろうか(写真:イメージマート)

1923年9月1日に発生した関東大震災を受け、9月は防災月間と定められている。災害に備えて用意されることが多い非常食の中でもすぐに思い浮かぶ、ミネラルウォーターやカップ麺だが、これらの購入はどの地域で盛んなのだろうか。総務省統計局の家計調査の結果を基に確認する。

まずは直近となる2021年におけるミネラルウォーターやカップ麺の都道府県別支出金額の実情。対象となるのは総世帯(単身世帯と二人以上世帯の合計。要は全部の世帯)で、年間の支出金額。例えば2021年のカップ麺は全国で4526円とあるので、全国の総世帯では1世帯あたり年間で平均4526円分のカップ麺を購入していることになる。

↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2021年)
↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2021年)

↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2021年)
↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2021年)

カップ麺で最大の支出金額を示したのは青森県の5919円。突出した値を示しているが、これは2021年8月に台風9号から変わった温帯低気圧による大雨に伴い発生した大雨による被害で、カップ麺を普段の食事として買わざるを得なくなったケースが生じたり、防災意識の高まりによる需要の拡大が生じたりした結果の可能性がある。

それ以外では特段地域別の傾向だった動きは見当たらない。特定地域に限れば、東京都で3781円と全国平均よりもかなり低い支出金額にとどまっているのが意外ではある。一方大阪府では4888円と、全国平均よりも高い支出金額となっている。

ミネラルウォーターは沖縄県が群を抜いて5559円とトップの支出金額。これは沖縄県の特性として、水道水に消毒として使われるカルキ臭が強いことから、ミネラルウォーターの需要が高く、相場も安いのが原因のようだ。次いで福岡県の5377円。カップ麺同様に2021年8月に台風9号から変わった温帯低気圧による大雨に伴い発生した大雨による被害で、ミネラルウォーターの必要性が高まったのが原因かもしれない。地域別動向としては関東地方、東海地方、四国にやや高めの値が出る傾向があるように見える。東海地方で多めなのは、ミネラルウォーターの名産地が多いのも一因かもしれない。

よい機会でもあるので、取得可能な最古の値となる2005年分と直近値の2021年分との比較を行う。

↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2021年ヘの増減比)
↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2021年ヘの増減比)

↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2021年ヘの増減比)
↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2021年ヘの増減比)

ミネラルウォーターもカップ麺も普段の食生活の中で使う機会が増えているようで、全国平均はもちろん、ほとんどの地域でプラスの値を示している。カップ麺では佐賀県のプラス188.0%が際立っている。一方で、東日本大震災で大きな被害を受けた被災3県(岩手県、宮城県、福島県)は特定的な増加ぶりを示していないのは意外なところ。防災意識の高まりから、備蓄品としてのカップ麺の需要が大いに増えるようにも思えたのだが。

ミネラルウォーターでは山形県のプラス356.0%が際立つ増加ぶり。次いで秋田県のプラス298.6%が続く。地域別の傾向としては人口密集地で伸び率が鈍い、東北や中部、九州で安定した伸び方が見られるなどが挙げられよう。前者については元々多くの人が普段の食生活の中で使っていたからだろうか。後者は台風などによる災害への備えの意識が高まったのも要因かもしれない。

ミネラルウォーターもカップ麺も、ある程度日持ちのする食品に違いない。普段の食生活の中で使う機会が増えたとしても、その特徴に変わりはない。ある程度まとめ買いをして、古いものから食べ、食べた分だけ新しく買い足すことで、実質的に備蓄非常食として使うこともできる。

普段の食生活の中で使う機会が増えたミネラルウォーターやカップ麺について、少々購入・消費の仕方を変えることで、備蓄非常食としての役割も担わせることができる点は、覚えておいた方がいいだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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