男女で大きな差が見られる子供に向けた時間

日本では男性の子育てへの積極的参加に注目が集まっている。アメリカ合衆国ではどのような実情なのだろうか。同国の労働省労働統計局の公開情報「American Time Use Survey」を基に、幼い子供がいる大人の生活の実情を時間配分の観点から確認する。

次に示すのは回答者本人が18歳以上で末子が6歳未満に限定した人における(つまり子供がいることが前提)週全体平均での1日あたりの平均時間。主従事の時間であり「ながら行動」の時間は含まれていない、平日と休日の合算平均である、夫婦世帯限定ではないので父子世帯・母子世帯による回答も含まれている、さらにアメリカ合衆国ではよく用いられているベビーシッターの雇用の有無は考慮されていないことに注意が必要となる。なお有意な値が得られなかった属性では空欄となっている(以下同)。

↑ 主要行動あたりの平均時間(アメリカ合衆国、18歳以上、主従事、末子が6歳未満の人限定、1日あたり、週全体平均、男女別、時間:分)(2021年)
↑ 主要行動あたりの平均時間(アメリカ合衆国、18歳以上、主従事、末子が6歳未満の人限定、1日あたり、週全体平均、男女別、時間:分)(2021年)

男性の方が就業率は高いので当然仕事などへの時間は長くなる。またテレビ観賞や運動などの時間も長い。他方家事や買物、そして育児・介護といった世帯を維持するために欠かせない家庭内活動は多分に女性の方が長くなっている。あくまでも主従事の時間のみで、「ながら行動」を含めるとまた別の動きとなるが(「ながら行動」も含めた時間は同一条件においては公開されていない)、家庭内の切り盛りや子供の世話は女性中心になり、時間が多分に割かれていることがうかがえる。

男女差を計算した結果が次のグラフ。

↑ 主要行動あたりの平均時間(アメリカ合衆国、18歳以上、主従事、末子が6歳未満の人限定、1日あたり、週全体平均、男性-女性の値、分)(2021年)
↑ 主要行動あたりの平均時間(アメリカ合衆国、18歳以上、主従事、末子が6歳未満の人限定、1日あたり、週全体平均、男性-女性の値、分)(2021年)

実際に男女差を計算するとこのようになる。男性が仕事に注力する時間が、女性では家事や育児・介護、買物にあてられているようすがよくわかる。

「ながら行動」の実情を育児の観点から

それでは「ながら行動」ではどのような値の動きを示しているのだろうか。上記の主従事行動と区分がいくぶん異なるが、次に示すのはながら行動として「育児」を行った場合における、主従事の行動時間。例えば男性の平日における「入浴など」は10分とあるが、これは男性では平日で平均10分ほど「入浴を主従事行為として、子供の世話を行っている」ことを意味する。

↑ 主要行動あたりの平均時間(アメリカ合衆国、18歳以上、主従事、末子が6歳未満の人限定、1日あたり、平日、育児を「ながら行動」として行った時の主従事の時間、男女別、時間:分)(2021年)
↑ 主要行動あたりの平均時間(アメリカ合衆国、18歳以上、主従事、末子が6歳未満の人限定、1日あたり、平日、育児を「ながら行動」として行った時の主従事の時間、男女別、時間:分)(2021年)

↑ 主要行動あたりの平均時間(アメリカ合衆国、18歳以上、主従事、末子が6歳未満の人限定、1日あたり、休日、育児を「ながら行動」として行った時の主従事の時間、男女別、時間:分)(2021年)
↑ 主要行動あたりの平均時間(アメリカ合衆国、18歳以上、主従事、末子が6歳未満の人限定、1日あたり、休日、育児を「ながら行動」として行った時の主従事の時間、男女別、時間:分)(2021年)

「ながら行動」でも平日における男性は就業に従事している場合が多いためか、家事などの点で女性よりかなり短い値にとどまっている。しかし一方で他の行動では女性よりは短いものの差異はさほど大きくなく、どうにか時間をやりくりして他の行動の中で子供の世話をしよう(≒子供とともにいる時間を設けよう)としているようすがうかがえる。

休日では時間そのものは長くなるが、項目間の差異などに関しては平日と大きな違いは無い。ただし平日と比べると男女差は縮まっており、特に娯楽・運動などでは男性の値は女性以上のものとなっている。休みの時間を利用して男性が子供との間の関係強化に努めようとする意図が見えてくる。

これらはあくまでも平均値でしかなく、個々の環境によって実情は大きく異なる。父子世帯・母子世帯では当然保護者の娯楽的行動以外の時間は長くなり、特に育児関連は多分に時間を拘束される。父子世帯より母子世帯の方がはるかに多いことを併せて考えると、父母ともにいる世帯での育児時間の男女の差異は、もう少し短いものとなるだろう。

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