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「生まれ変わってもまた日本がいい」8割を超える人が賛同

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
「生まれ変わってもまた日本がいい」と考える人はどれぐらいいるのか(写真:イメージマート)

生まれ変わりを信じるか否かとの問題があるものの、生まれ変わりがあると仮定し、どのような場面、環境で生を受けたいかとの話は、よく交わされる他愛もないテーマの一つ。見方を変えると「比較対象の中でどの選択肢を自分が好んでいるのか」を選ぶ心理テストのようなものでもある。それでは生まれ変わりの際に再び日本で生まれてきたいと思う人、つまり他国と比べて日本(の環境)が好きな人はどれだけいるのだろうか。統計数理研究所による定点観測的調査「日本人の国民性調査」(※)の結果を基に、その実情を確認していくことにする。

今調査対象母集団では「あの世」の存在を信じている人は約4割、中年層まではやや高い値を示している。

↑ 「あの世」というものを信じているか(信じている人の割合)
↑ 「あの世」というものを信じているか(信じている人の割合)

また宗教という観点で信仰や信心などを持つ人は直近2018年では26%にとどまっており(グラフ化略)、日本人は比較的宗教に関しては肯定的ではないことが分かる。

一方で心理学的なテスト、あるいは言葉遊び的な意味合いで生まれ変わりについて語られることは、案外多く行われる。今件では生まれ変わるとしたらどの国に生まれたいかとし、「日本に」「よその国に」「その他」の中から選んでもらっている。要は「生まれ変わっても日本で再び生を受けたいほど日本が好きか、他国よりも日本がよいと思っているか」否かを尋ねたもの。次のグラフはその設問において「日本に」を選んだ人の割合を示したものである。なお今件は現時点で年齢階層別の値について直近2018年分の値が開示されておらず、前回の2013年分までの値の動向を示したものとなる。

↑ 生まれ変わっても再び日本に生まれてきたいと思うか、他の国にしたいか(日本選択者の値)
↑ 生まれ変わっても再び日本に生まれてきたいと思うか、他の国にしたいか(日本選択者の値)

今項目の調査は3回しか行われておらず、統計結果も3回分しかない。しかも直近の2018年分は全体値しか公開されていない。それでも70代以上をのぞいた全年齢階層で日本を選ぶ人が増えている。他国と日本を比べ、日本の環境のよさを実感する人が増加している、ということなのだろう。2018年では前回調査比で全体値が1%ポイント減少しているが、正直誤差の範囲。

若年層では元々低かった値が、2013年ではかなり補正される形で上昇を見せ、他の年齢階層に追いつくばかりの値にまで跳ねている。中でも20代と40代は10%ポイント以上の増加を示しているのが注目に値する。2018年でもおそらくはすべての年齢階層で2013年と同じ程度の値だろう。

グラフ化は略するが詳細値が公開されている2013年分を確認すると、地域別で差異は無く、都市規模別では都心部がやや低め。ただし元々都心部では若年層が多く、地方では高齢者が多いことから、当然の結果ともいえる。

概して若年層ほど低く、高齢層ほど高い「次もあるのなら日本がよい」との発想。これが年齢に寄るものなのか、それとも各世代によるものなのか、今回調査分だけでは判断が難しい。少なくとももう2、3回分の経年調査、そして年齢階層別など詳細な結果の公開が必要だろう。

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※日本人の国民性調査

統計数理研究所が1953年以降5年ごとに実施しているもので、各回ごとに微妙に細部は異なるものの、基本的に20歳以上の男女個人を対象にした標本調査。層化多段無作為抽出法で2254人から6400人の標本を抽出し、個別面接聴取法で実施している。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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