正規か派遣かパートかそれとも役員か…国勢調査から学歴別の就業状態をさぐる(2022年分析版)
学歴は人生に大きな影響を与えるとされるが、就業は特に大きな影響要素となる。実際に学歴別で就業状態に違いは生じているのか。国勢調査の結果から確認する。
国勢調査の結果において、最終学歴と就業状態の関連が確認できるのは10年おきの大調査のみ。現状では2020年分の調査結果が最新のものとなる。そこで2020年の結果について、学歴別に現在どのような就業状態にあるかを確認した結果が次のグラフ。就業に関して不詳との回答者は除いて計算している。また就業内容は問われていない。
就業している人に限った話だが、概して高学歴の方が正規職員・従業員や役員の比率は高く、派遣社員やパート・アルバイトなどの非正規率は低くなる。大卒者では7割強が正規職員・従業員として働いているが、高卒者では5割でしかない。また低学歴では非正規社員の他に業主(自営業や自由業など)の比率も高いが、短大・高専卒者よりも大学・大学院卒者の方が高い値を示すようになる。短大・高専で役員や業主の比率が落ちるのは、女性の比率が高いからだろう。
これを男女別で確認したのが次のグラフ。
男性と比べ女性は正規職員・従業員や役員の比率が低く、パート・アルバイトがきわめて高い値を示している。また派遣社員も比率そのものは小さいが、男性と比べると女性の方が高い。例えば女性の場合は結婚後に兼業主婦としてパートに勤める人が多いなど、男女間の生活様式の違いが表れている。
女性で家族従業者(農家、商工業などの自営業者を営む家族の一員で、その事業に従事している人)の比率が極めて高く、特に小中卒者では1割を超えている。これは多分に歳を召した世帯における自営業世帯でのケースが該当している。
学歴はそれ自身が就業条件となっている場合もあるが、多分に本人の学力、能力による結果であり、指標以上のものではない。今件は「高学歴ほど就業率が高い」実態を全般的な視点から裏付けたものではあるが、それが「学歴があれば本人の能力は二の次でも就業上好条件となる」ことを意味しない点には注意したいところではある。
■関連記事:
【全体2.9%、大学・大学院卒2.1%…日本の学歴・年齢階層別完全失業率(最新)】
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。