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若年層の得意ごと、シニアの想像と若年層の自覚と(2022年版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
若者が得意だと自覚していることと、シニアの想像との相違は(写真:イメージマート)

シニアが抱く若年層が得意としていることのイメージと、若年層自身が自覚している得意なこととの間には、どのような差異があるのだろうか。ギャップが大きければ若年層が関係する物事における判断に問題が生じかねないし、意思疎通の上でも難儀するかもしれない。大和ネクスト銀行が2022年1月に発表した「『シニアが考える若年層イメージ』と『若年層の実態』に関する調査2022」(※)の内容から、その実情を確認する。

次に示すのは若年層が得意だとシニアが思うことを挙げてもらった結果。トップには「仲間と情報を共有する」が付いた。49.2%とほぼ半数。

↑ 若年層が得意だとシニアが思うこと(複数回答、上位陣)(2021年)
↑ 若年層が得意だとシニアが思うこと(複数回答、上位陣)(2021年)

常にスマートフォンを操作しソーシャルメディアやチャットで友達と情報のやり取りをしている若年層の姿を見聞きしているシニアにとっては、その行為で仲間と情報を共有していると考えてもおかしくはない。また、そのような行為がシニアにとっては苦手で、自分と比べると上手にできているように見える若年層を見て、得意なのではないかと考えている部分もあるだろう。

次いでトップとほぼ同じ値で「流行を取り入れる」。新しい物事や流行の商品などは、シニアからは常に若年層から生じているように見えるのだろう。またトップにある得意な行為の「仲間と情報を共有する」ことで、流行に敏感になるとの発想もあるかもしれない。

さらに「趣味を楽しむ」「分からないことを調べる」「新しいことを生み出す」「友達を作る」「自分の意見を言う」などが上位に。ある意味、これらの事柄はシニアの目線に見える若年層の姿の一面との解釈もできよう。苦労無くごく普通にやっているように見えるからこそ、得意なのだろうと。

一方で若年層が自覚している、得意だと思うことは次の通り。

↑ 若年層が自覚している得意だと思うこと(複数回答、上位陣)(2021年)
↑ 若年層が自覚している得意だと思うこと(複数回答、上位陣)(2021年)

トップは「趣味を楽しむ」で39.6%、次いで「分からないことを調べる」が37.4%、「節約をする」が33.0%。さらに「お金を貯める」が26.4%となり、お金に関する事柄が続く。コミュニケーションに関する事柄は「場の空気を読む」の26.0%がようやく顔を見せる。「流行を取り入れる」は7.4%でしかない。

シニアの想像と比較すると、「趣味を楽しむ」「分からないことを調べる」などは値も近く、順位の上でもさほど変わらない結果が出ている。これらについてはシニアと若年層で認識が近いと見てよい。

他方、シニアの想像で上位にある「趣味を楽しむ」「分からないことを調べる」は、若年層自身では11.8%・7.4%でしかなく、順位も低い。若年層にとってはこれらの事柄は得意不得意の範ちゅうにすらなく、ごく当たり前のものとの認識があるのかもしれない。呼吸をすることを「呼吸が得意」と自覚する人はあまりいないと思うが、まさにそのような形である。

また若年層の自覚で上位にある「節約をする」「お金を貯める」は、シニアでは8.2%・4.2%にとどまり、順位も下の方。金銭面でシニアと若年層の間には大きなギャップがあるとの指摘も多々あるが、その一面がこの結果にも表れているといえよう。

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※「シニアが考える若年層イメージ」と「若年層の実態」に関する調査2022

2021年12月3日から5日にかけて20~29歳の男女(学生除く、若年層)と60~79歳の男女(シニア層)に対しインターネット経由で行われたもの。有効回答数は若年層、シニアそれぞれで500件ずつで、個々の層における男女比は1対1。調査協力会社はネットエイジア。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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