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圧倒的男性の多さ…交通運輸・観光サービス業で迷惑行為をした人の属性を確認

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
ロボットならば迷惑行為の類も起きないかもしれないが(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

交通運輸・観光サービス業で働く人に対する利用者の迷惑行為、いわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)が問題視されている。その迷惑行為をしたのは、どのような人なのだろうか。全日本交通運輸産業労働組合協議会が2021年11月に発表した、交通運輸・観光サービス業における利用者の迷惑行為に関する調査(※)の結果から確認する。

今調査結果によると、交通運輸・観光サービス業で働く人に対する利用者の迷惑行為による被害を経験したことがある就業者は直近2年間で限定しても46.6%に上った。16回以上も受けた人も3.1%いる。

↑ 直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあったことがあるか(2021年)
↑ 直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあったことがあるか(2021年)

それでは迷惑行為をしていたのはどのような人だったのだろうか。まずは男女別で確認をする。

↑ 迷惑行為者の属性(男女別・業種別)(2021年)
↑ 迷惑行為者の属性(男女別・業種別)(2021年)

調査対象母集団全体では86.4%が男性で、女性は10.7%しかいない。業種別では観光サービスで女性が19.6%と一番高い値を示しているが、それでも2割には届かない。男性比率が圧倒的に高いのは、男性が迷惑行為をしがちだからというよりは、その交通機関などを利用する人の男性比率が高いからのが主要因だろう。とはいえ、女性の利用比率も相当高そうな観光サービスですら、女性の迷惑行為比率が2割に届かないのを見ると、女性よりも男性の方が迷惑行為を起こしやすいとの面もありそうだ。

これを年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ 迷惑行為者の属性(年齢階層別・業種別)(2021年)
↑ 迷惑行為者の属性(年齢階層別・業種別)(2021年)

その交通機関などを利用しなければ迷惑行為そのものができないことから、結果は少なからず利用状況そのものに影響される。就業で多く利用しているであろう30~50代が高い値を出しているのは、ある意味当然の結果ではある。一方でタクシーでは20~30代の値が他の業種と比べて高くなっている、鉄道やバスでは60代の値が高め、バスでは70歳以上の値が唯一1割以上を示しているなどの特徴も見受けられる。また航空では40~50代でほぼ3/4を占めている。それぞれの利用実情とともに、迷惑行為の実情が透けて見えてくる。

交通機関などでの迷惑行為というと、若年層で多く見受けられるイメージを持つ人もいるだろうが、現実は異なるようだ。

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※交通運輸・観光サービス業における利用者の迷惑行為に関する調査

2021年5月20日から8月31日にかけて、交通運輸・観光サービス業に従事している全日本交通運輸産業労働組合の所属組合員に対し、書面あるいはインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2万908件。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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