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月額・定額制で使い放題のサービスを20代はどこまで利用しているのか(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
ついつい使い続けてしまう月額・定額制での使い放題サービス(写真:アフロ)

インターネット技術の進歩と普及により音楽業界や映像業界などを中心に広まってきた、月額・定額制による使い放題のサービス。遊園地の年間フリーパスと仕組みは同じだが、利用のしやすさから多くの人に受け入れられ、一部の業界では業界の構造そのものを大きく揺り動かす影響力を持つまでに至っている。今回はSMBCコンシューマーファイナンスが2022年1月に発表した調査「20代の金銭感覚についての意識調査2022」(※)の結果から、20代における月額・定額制での使い放題サービスの利用状況を確認する。

最初に示すのは月額・定額制で使い放題のサービスにお金をかけているか、つまり利用している人の割合と、利用している人の平均額の実情。利用している人は47.1%と半数近くとなり、その平均額は1468円となった。

↑ 月額・定額制で使い放題のサービスにお金をかけているか(20代、かけている人)
↑ 月額・定額制で使い放題のサービスにお金をかけているか(20代、かけている人)

↑ 月額・定額制で使い放題のサービスにかけている平均額(20代、かけている人限定、円)
↑ 月額・定額制で使い放題のサービスにかけている平均額(20代、かけている人限定、円)

47.1%の人が利用しており、その月の平均額は1468円。意外と少ないと思っている人もいるかもしれないが、1年で換算すると17616円とそれなりの額になる。その額に見合うだけのサービスを受けていると当人は思っているからこそ、利用し続けているのだろう。

以前の調査結果からの推移を見ると、利用している人の割合も、利用している人の平均額も増えている。まだ3回分しか調査されていないがその限りでは、より多くの人が、より多くの額を投入していることになる。特に直近の2021年では大きな伸びが生じている。

それでは具体的にどのようなサービスを利用しているのか。お金をかけている人限定で複数回答にて尋ねた結果が次のグラフ。

↑ これまでに利用したことがある月額・定額制で使い放題のサービスは(20代、かけている人限定、複数回答、上位陣、男女別)(2021年)
↑ これまでに利用したことがある月額・定額制で使い放題のサービスは(20代、かけている人限定、複数回答、上位陣、男女別)(2021年)

もっとも多くの人が使っているのは動画配信で68.8%、次いで音楽配信の62.8%、そこから値がずっと落ちて雑誌・漫画の7.9%、ゲームの5.9%と続く。話題性の高い自動車は1.5%、眼鏡は1.1%。

男女別の動向を見ると、動画配信や音楽配信は意外にも(?)女性より男性の方が高い値となっている。雑誌・漫画も男性の方が高く、コンタクトレンズやシャンプー、眼鏡などは女性の方が値は高い。

余談だが、各サービスの利用状況について、お金をかけている人限定ではなく調査対象母集団全体の値を試算したのが次のグラフ。例えば動画配信なら32.4%とあるので、20代全体の1/3近くが月額・定額制で動画配信の使い放題サービスを利用している計算になる。

↑ これまでに利用したことがある月額・定額制で使い放題のサービスは(20代、全体比、複数回答、上位陣)(2021年)
↑ これまでに利用したことがある月額・定額制で使い放題のサービスは(20代、全体比、複数回答、上位陣)(2021年)

やはりインターネット、特にスマートフォン上で気軽に使える、表現を変えると利用ハードルが低くついついお金をかけてしまう動画配信や音楽配信を利用する人が多いことが分かる。自動車やニュース、眼鏡などは1%足らずで、実質的に誤差の範ちゅうでしかないのが実情ではある。

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※20代の金銭感覚についての意識調査2022

2021年12月3日から4日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の区切りで均等割り当て。未婚者789人、既婚者211人。調査協力機関はネットエイジア。

今調査における「年収」とは特に設問中で定義がされていないため、世間一般に認識されている通り、手取り(所得)ではなくサラリーマンなどなら天引きされている税金や社会保険料を含めた金額を意味するものとする。また、世帯「主」年収ではなく、世帯年収であることに注意。回答者が所帯持ちだった場合、配偶者の収入も合わせてカウントされる。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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