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現在の生活に満足している人は55.3%

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
日々の生活に満足している人はどれぐらいいるのだろうか(写真:アフロ)

55.3%の人が「今の生活に満足」

日常生活への満足度は周辺環境や経済上の貧富の度合い、社会的な満たされ度合いなど多様な要素によって左右される。人々は現在の生活にどれほど満足しているのだろうか。内閣府が2021年1月に発表した定点観測調査「国民生活に関する世論調査」(※)の結果から確認する。

次に示すのは「あなたは、全体として、現在の生活にどの程度満足していますか。この中から1つお答えください」と回答者自身の生活への満足感を尋ね、選択肢として「満足している」「まあ満足している」「やや不満だ」「不満だ」を提示。そのうち前者「満足している」「まあ満足している」を満足派として合算し、その値を満足度として示したグラフ。全体では55.3%が満足派との結果となった。

↑ 現在の生活に対する満足度(都市規模別)(2021年)
↑ 現在の生活に対する満足度(都市規模別)(2021年)

回答者の居住地域の都市規模別では傾向だった差異は無し。この類の調査の場合、得てして違いが生じるものだが、差は誤差の範囲。都道府県別などの動向も知りたいところだが、今調査の公開値では確認できなかった。あえて言えば、都市部より地方の方が満足度の値が低いようにも解釈できる。

ともあれ、55.3%の人は現状の生活には満足しているとの認識を持っている。

これを男女別・年齢階層別で見ると次の通り。

↑ 現在の生活に対する満足度(男女別・年齢階層別)(2021年)
↑ 現在の生活に対する満足度(男女別・年齢階層別)(2021年)

男女別では女性の方が満足派が多い。また年齢階層別では若年層が一番高く6割台を示すが、40代より上は10%ポイント程度下がりほぼ5割台となる。40代が一番低い値を示しているのは、住宅ローンや子供の養育など頭を悩ませる問題がある人が多いからなのだろうか。

昔はどのような状況だったのか

全体値としての満足派の動向を精査した結果が次のグラフ。なお2021年分では新型コロナウイルス感染症への対策のため、過去の調査と比べると調査方法や設問様式に違いがあることから、イレギュラーな傾向が出てしまっている。経年の傾向分析の上では注意が必要となる。

↑ 現在の生活に対する満足度(満足派)
↑ 現在の生活に対する満足度(満足派)

数年のずれが生じている期間もあるが、おおよそ景況感に似た動きをしているのが興味深い。バブル崩壊直前までつけていた高値は、その後するすると落ちていき、ITバブルでも下げ止まらない。デフレ感が強い心理的影響を与えていたことがうかがえる。その後、いざなみ景気期間はやや持ち直しを見せるが、金融危機、さらにはリーマンショックで大きく落ち込む。それ以降は震災時も値を上げるが、バブル期の最高値を目前にして足踏み、そしてこの数年で大きく伸びた次第である。

なお一部に2016年分調査から調査対象をこれまでの20歳以上から18歳以上に下げたために、2016年分以降が大きく伸びたのではとの指摘もあるが、はじめての18歳以上対象とした2016年分の値が70.1%(20歳以上に限れば69.8%)だったため、その指摘は当てはまらない。

直近となる2021年の大幅な減少は、上記説明の通り調査方法や設問様式に違いがあるのが主要因。一方で新型コロナウイルス感染症の影響により多様な面で生活が厳しくなり、満足と思う人が減った可能性は否定できない。世界規模の疫病が人々の生活を(心境的・認識として)厳しいものとしたとする結果は、容易に理解できるものではある。

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※国民生活に関する世論調査

直近分は2021年9月16日から10月24日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を持つ人の中から層化2段階無作為抽出法で3000人を選んだ上で、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1895人。男女比は906対989、年齢階層別構成比は18~19歳が32人・20代171人・30代209人・40代306人・50代333人・60代312人・70歳以上532人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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