男女の未婚状況を示す指標の一つに「生涯未婚率」がある。特定年齢層の未婚率から算出したものだが、この値は増加の傾向にある。その現状と今後の予想値を、直近となる2020年分の国勢調査の結果や、2021年7月に内閣府から発表された「少子化社会対策白書」を基に確認する。

「生涯未婚率」は言葉通り、その時点において今後一生涯結婚しないであろう人の割合を示す。生涯を通して実際に未婚だった人の割合ではないことに注意。死別や離別などの理由で配偶者と別れた結果として現在は独身の人もまた「未婚」には該当しない。公益財団法人生命保険文化センターの解説によると、

「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したものです。生涯を通して未婚である人の割合を示すものではありません。ただし50歳で未婚の人は、将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われます。

とある。法的な結婚状態にはないが両者合意のもとに同棲状態にある人(事実婚)の場合、今回の結婚状態には含まれない。また性交渉の有無は今件とは関係はない。

この定義から、各国勢調査の調査年における「生涯未婚率」を算出していく。また国勢調査の最新値である2020年分より後の2025年分以降については、「少子化社会対策白書」側が推計した値を用いる。

↑ 生涯未婚率(45~49歳と50~54歳未婚率の平均値、2025年以降は推計値)
↑ 生涯未婚率(45~49歳と50~54歳未婚率の平均値、2025年以降は推計値)

男性は1985年あたりから上昇勾配がきつくなり、1995年以降はほぼ一直線での増加をしていたが、2020年分では上昇ぶりがいくぶん落ち着いた感がある。確定値の直近分の2020年では前回の2015年から2.3%ポイント増え、1/4に届いてしまっている。

一方女性は1975年からはほぼ横ばいの動きを示していたが、1995年からは上昇に転じ、次第に伸び方が急上昇を示している。そのカーブの変容からは、明らかに何らかの状況変化が起きたことを示している。ただし男性同様女性も2020年ではやや上昇ぶりが落ち着いている。

2025年以降の推計値は2030年以降上昇ぶりが緩やかなものとなり、2040年時点で男性は29.5%、女性は18.7%になると推計している。この急激な上昇度合いの鈍化に関して白書側では特に説明はなく、単純に「これまでの未婚化、晩婚化の流れが変わらなければ、今後も50歳時の未婚割合の上昇が続くことを予測している」と言及されているのみ。もっとも緩やかな上昇に転じるとはいえ、男性の生涯未婚率が2040年には3割近くに達するのは衝撃的。

他方、少数ではあるが、上記で指摘したように、統計上は未婚扱いではあるものの、事実婚の状況で異性と同居(同棲)しているケースも想定される。これもまた価値観の多様化によるものではある。なお白書ではこの事実婚、さらにはそれによる出産で生じる婚外出生のパターンが日本では少ないため、生涯未婚率の上昇は出生率の低下の大きな要因となるとも指摘している。

今件データは原則的に国勢調査毎に更新されるため、次の確定値によるデータ公開は2026年以降となる。果たして推計通り生涯未婚率の上昇が緩やかなものになるのか否か、他の結婚関連の値とともに、気になるところではある。

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