総世帯数64万6809世帯…母子世帯の実情をさぐる
2020年時点で母子世帯数は64万6809世帯
母子世帯(※)とはさまざまな理由で父親が同一世帯におらず、母親と子供のみで構成される世帯を指す。母子世帯では子供の世話や金銭面でのやりくりなど多様な点で生活上の厳しさが生じており、解決すべき社会問題の一つとして注目を集めている。今回は国勢調査の最新版となる2020年分の統計公開値を基に、母子世帯の実情をいくつかの観点から確認する。
2020年時点の母子世帯数は64万6809万世帯。その世帯を一番小さな子供の年齢別に区分したのが次のグラフ。母「子」世帯なので子供のいない世帯は該当しない。また、子供が20歳以上の場合も当てはまらない。
一般的には子供が幼いほど手間はかかるもの。ゼロ歳児の子供がいる母子世帯は7666世帯、1歳・2歳は2万8455世帯。3~5歳では7万3579世帯。子供の人数はともかく、最年長の子供が6歳未満(一般的には小学校に上がる前)の世帯に限ると6万2828世帯となる。全母子世帯に占める比率は1割足らずでしかないが、子供の世話ではより苦労が生じていることがうかがえる。
その子供の数だが、母子世帯では過半数が子供1人世帯となっている。
子供が2人の世帯は全母子世帯のうち1/3強、3人以上は約1割。金銭面でも世話の上でも、大変難儀しているに違いない。
離別が8割強…父親との関係
母子世帯では原則として生物学上の父親が存在していたことになる。その父親との関係を確認したのが次のグラフ。
8割強が離別(離婚などによるもの)、死別は6.6%、未婚は12.8%にとどまっている。
これを母親の年齢階層別に見たのが次のグラフ。
未成年の母親の場合は2/3近くが未婚状態によるもので、離別は1/3強。母親の年齢が上になるに連れて未婚状態は減り、離別の割合が増えていく。また死別も少しずつだが増加。30代後半から40代前半で離別の比率はピークとなり、それ以降は代わりに死別が増えていく。未婚の状態によるものの割合は少しずつ減少を続けるが、40代後半でほぼ底を打ち、それ以降は1割強を維持するのが興味深いところ。
該当世帯の周辺環境や経済的な立ち位置にもよるが、母子世帯や父子世帯は子育てなど生活面で大きな負担を背負うことになる。子供が、手間がかかる幼少時の場合は特に生活がハードなものとなる。
他方、児童手当や児童扶養手当、児童育成手当をはじめ、公的な支援策も多数存在している。知らずに申請をしなければ享受できないサービスも多々存在するため、専門家に相談をするなり、積極的に調べて申し込みを行い、少しでも状況改善を試みてほしいものである。厚生労働省でも【母子家庭等関係】のページで、さまざまな支援内容を説明している。
これらの支援を受けるにあたり、気後れする必要は無い。整備されている制度についてはすべて、受ける権利を持っているのだから。
■関連記事:
※母子世帯
国勢調査の調査要綱では母子世帯の定義は「未婚、死別又は離別の女親と、その未婚の20歳未満の子供のみから成る一般世帯」と説明されている。世間一般で見聞きされる夫との死別や、離婚による離別以外に、未婚の母による子供(法律上の婚姻関係にない男女間で産まれた子供、非嫡出子)とその母親から構成される世帯も含まれる。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。