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免許保有者の約7割は安全運転に自信あり…高齢者は自分の運転に自信があるのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
高齢者による自動車の運転。安全運転をする自信はあるのか否か(写真:Paylessimages/イメージマート)

高齢者の人口比率の増加や一人暮らし世帯数の増加などを主な原因とし、高齢者による自動車の交通事故が社会問題化している。高齢者自身は、自分の運転技術にどのような認識を持っているのだろうか。内閣府が2021年3月に発表した調査「高齢者の交通安全対策に関する調査(令和3年3月)」(※)の結果を基に、その実態を確認する。

次に示すのは自分自身の運転技術の認識。安全運転をしている・できるという自信があるか否かについて答えてもらったもの。設問の文言は「自身の安全運転に自信がありますか。以下の中から最も当てはまるものを一つだけ選んでください」。青系統色は自信がある派、赤系統色は自信がない派となっている。

↑ 安全運転への自信の有無(属性別)(2020年度)
↑ 安全運転への自信の有無(属性別)(2020年度)

免許の保有状況別では、現在も免許を保有して運転している、少なくとも運転が可能である人はほぼ7割が自信がある派。一方で自主返納などをして現在は免許を保有していない人は4割足らずとなっている。運転をしていない・免許を持っていないから安全運転への自信がない状態なのか、安全運転への自信がなくなったので運転免許を自主返納などしたのかまでは分からないが、少なくとも免許保有者と自主返納をした人などとの間には、自分自身の自動車の運転への安全性の認識に対し、これだけ大きな開きが生じていることが分かる。特に自主返納者などにおける「安全運転への自信がない」との人が36.1%にも達しているのが印象深い。

運転頻度別ではきれいな形で運転頻度が高い方が自信がある派の値は高くなっている。運転頻度が高いから安全運転への自信があるのか、安全運転への自信があるから運転頻度が自然に高くなるのか、どちらのパターンが当てはまるかは人それぞれだが、ともかくほぼ毎日運転をしている高齢者の8割近くは自分の運転が安全であるとの自信を持っている、週1以上で運転をしている高齢者の7割以上は自分の安全運転に自信があることになる。

「まったく運転せず」は運転免許を自主返納などした後の人もいれば、現在まだ運転免許を保有しているものの自主的な失効待ちの人もいるし、他の理由で回答時点ではまったく運転していないものの機会があれば運転することはできる・するつもりの人もいるだろう。ともあれ、5割近くの人は安全運転への自信がまったくないと自覚している。自信がある派は2割強でしかない。

無論今件における「安全運転への自信」はあくまでも回答者自身の自覚であり、計測器などを用いた客観的な結果によるものではない。安全運転ができていると回答者は自覚していても、実は危険な運転を繰り返しているということも少なからずあるだろう。本人回答タイプの調査では、そこまでは確認できないのが残念ではある。

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※高齢者の交通安全対策に関する調査(令和3年3月)

2020年12月から2021年1月にかけて65歳以上の人に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1500人。免許保有者は832人、自主返納者などは668人。都市区分では都市部在住者416人・地方都市在住者416人・その他417人・過疎地251人。都市区分に関しては「都市部」は特別区や指定都市、「地方都市」は中核市や施行時特例市、「過疎地」は過疎地域自立促進特別措置法により過疎地域とされている市町村、「その他」は都市部・地方都市・過疎地以外の市町村。「自主返納者など」は運転免許の全部の自主返納者および一部の自主返納者、免許を更新せずに置いておき、そのまま自主的に失効させた人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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