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「そっこう」「めっちゃ」など新しい言葉達はどこまで浸透しているのか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
若年層が日常会話の中で使っているように見える新しい言葉だが…(写真:アフロ)

間違いや思い付きなどで生まれた創作語、あるいは一部地域でのみ・特定の環境下でだけ使われていた言い回しが、何かをきっかけに世間一般に浸透して新しい言葉として認識されることがある。業界用語が普通に使われるようになるのがよい例だが、これは言葉の進化、あるいは変容と表現でき、昔からごく普通に生じていた動きでしかない今回は文部科学省が2021年9月に発表した国語に関する世論調査(※)の結果を基に、いくつかの新しい言葉について、その浸透実情を確認する。

次に示すのは副詞的に用いるものの中から、新しい使い方や意味が辞書に記載されはじめたもの5つをピックアップし、その浸透実情を確認したもの。例えば「とても」の意味の「めっちゃ」は57.9%とあるので、調査対象母集団のうち57.9%は、「とても」との意味での「めっちゃ」という言い回しを使うことがあると自認している。これは「必ずその言い回しを使う」「会話・文章上を問わず使う」を意味しない。あくまでも使う機会があるに過ぎない。

↑ 対象の言葉を自分で使うことがある(2021年)
↑ 対象の言葉を自分で使うことがある(2021年)

「とても」の意味の「めっちゃ」を使う人は57.9%。国語に関する世論調査の報告書によればこの「めっちゃ」は関西地方などで、「まるっと」は日本の各地で以前から用いられていたとのことで、新しいとの印象はなくずっと昔から使っていたとの感想を持つ人も大いに違いない。次いで「騒ぐほどではないが確かに」の意味の「じみに」は39.8%とほぼ4割に。例えば「この打ち身、じみに痛い」といった形での使われ方だが、恐らくは派手ではない・控えめなことを意味する「地味」から転じた使われ方だと思われる。

「すぐ」の意味の「そっこう」は39.0%。由来として漢字表記での「即行」「速攻」が挙げられているが、いずれにしてもできるだけ今すぐにでもを意味し、カタカナで「ソッコー」と表記されることも多い。若者言葉的な扱いをされることが多いのが実情。

「そっくり全部」の意味の「まるっと」や「とても」の意味の「鬼」は1割内外。「鬼」は「そっこう」同様、若者言葉として使われることが結構あるように思われるが、今件調査の限りでは4.8%にとどまっている。

これを年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ 対象の言葉を自分で使うことがある(年齢階層別)(2021年)
↑ 対象の言葉を自分で使うことがある(年齢階層別)(2021年)

多くの言葉ではおおよそ若年層ほど使う人が多く、年上になるに連れて減っていく。一方で「そっこう」では20代がもっとも使う人が多く、「まるっと」では40代が一番多いのは意外に見える。また「鬼」は30代以降では1割を切っており、実質的に20代までの若年層の間で使われることがあると見てよさそうだ。

無論すべての場面で使うわけではないが、20代までは9割以上が「めっちゃ」「じみに」を使うという結果に、驚く人もいるのではないだろうか。

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※国語に関する世論調査

2021年3月4日から29日にかけて全国16歳以上の個人を対象に郵送法によって行われたもので、有効回答数は3794人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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