食料は6割以上をスーパーで調達…夫婦世帯の食料・教養娯楽品購入先の実情
夫婦世帯は食料や教養娯楽品を普段どこで購入しているのだろうか。総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から、その実情を確認する。
今回確認するのは、消費支出(税金や社会保険料(=非消費支出)をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)のうち「食料(=食品)」「教養娯楽」の2項目に関して、どのタイプの店でどれだけの額を支払いしているかについて。例えば食料で世帯主年齢が29歳以下を見るとスーパーは67.5%となっている。これは平均的な世帯主29歳以下の二人以上世帯(原則夫婦世帯。勤労者世帯以外に年金生活者も含む)において、1か月に1万円食料品を購入する場合、そのうち6570円はスーパーで調達していることを意味している。また購入先区分のうち百貨店は、事実上デパートと同じもの。
また今調査では不自然な金額が「その他」に割り振られていることから、今回は「その他」を除いて計算をし直している。
まずは食料。
すべての年齢階層でスーパーが6割台と最大値を占めている。注目すべきは年齢階層別で違いがほとんど見られないこと。
その他主な動きをまとめると、
・一般小売店は30代が多用する傾向。その分、スーパーの値がやや少なめになっている。
・コンビニや量販店の値はおおよそ若年層の方が高い。しかしそれでもほとんど1割に届かない(29歳以下のコンビニがかろうじて10.2%と1割超え)。
・百貨店の値は高齢世帯の方が高い。デパ地下の食品街をよく使っているのだろうか。
・通販はネット、ネット以外ともに低調。
といった具合。高齢世帯ほど百貨店のような、比較的古い販売スタイルの購入先割合が高くなるのは、やはり「昔からの馴染み」を使い続けているからだろうか。また、他の買い物と合わせ一か所でまとめて済ませられる利便性も影響しているのかもしれない(食品スーパーで石けんや歯みがき粉は手に入らない。コンビニでは多様な商品があるが、個々種類の品揃えは中途半端で価格も高い)。全般的に単身世帯と比べて「コンビニ」での購入割合が低いのは、まとまった量を購入するのには(量的だけでなく金額的にも)不向きなことが理由として考えられる。
続いて教養娯楽。区分を解説する区分を解説する【支出分類】によれば、家電製品やゲーム・音楽関連、ペット関連な、書籍や新聞などの紙媒体、各種通信費などが該当する。
食品ではスーパーがすべての年齢階層で最大値を見せていたが、教養娯楽では一般小売店がトップで量販店が続く形となっている。世帯主年齢階層別に見ると大体次のような傾向が確認できる。
・世帯主の年齢の上昇とともに一般小売店の利用割合が増加。馴染みの店での購入率が上がるのか。
・スーパーは世帯主の年齢とともに値が増加。
・百貨店は世帯主の年齢とともに割合がおおよそ減っていく。
・ネット通販は単身世帯と比べて少なく、最大値を示す29代歳以下でも2割強。
・ネット以外の通販や生協・購買は若年層世帯ではほとんど利用されていないが、高齢層世帯ではそれなりの実績が出ている。
量販店がスーパー以上に健闘しているのは、ペットフードや玩具などがよく購入されていることに加え、スーパーや一般小売店よりもまとめ買いされる傾向が強く、金額も跳ね上がるため。今調査では購入頻度や個数までは調査されておらず、購入時のスタイルまでは分からない(100円の商品を100個まとめて購入、10000円のを1つ、1000円の商品を1回につき1個で10回に分けて購入、いずれも支出金額は10000円のため、値は同じとなる)。ディスカウントストアや量販店での買い物は多分にまとめ買いのため、実際には来店回数はスーパーなどと比べて少なくとも、値は上になることは容易に想像できる。
ネット通販の割合が単身世帯と比べて随分と低いのも気になるところ。しかし今件は「世帯全体のためのの買物」であり「世帯構成員個人のプライベートな買物」ではないことを思い返せば、個人の趣味的アイテムの購入が難しい、ネット通販が使いにくいとの理由が多分に考えられる。それでも20代では2割強、30~40代では1割強がネット経由の通販で購入されているのは、注目すべき値には違いない。
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※全国家計構造調査
家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。
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