一人暮らしをする若者はどのようなお金の使い方をしているのか。総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から確認する。

今回精査するのは、一人暮らしの勤労者世帯のうち30歳未満が対象。その世帯を対象に、一か月の消費支出(税金や社会保険料をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)が具体的にどのような項目に割り振られているのかを示したもの。取得可能な値は1969年以降のものであることから、それ以降のものをすべて用いる。また個々の金額が少数のため、「その他消費支出」独自の項目以外に「光熱・水道」「家具・家事用品」「保険医療」「教育」もまとめて「その他消費支出」に合算している。

↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(男性)
↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(男性)

↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(女性)
↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(女性)

昔から今に至るまで「食料」が減り「住居」が増えている。いわゆる「エンゲル係数」(食料費÷消費支出で計算する)が減少しているのが確認できる。食品価格の安定、下落、支出の多様化の他に、特に男性においては外食費の切り詰めが原因。もっとも男性に限れば、食料も2014年以降は増加に転じている。

「交通・通信」の増加は公共機関やガソリン代の値上げの他、携帯電話の使用によるところが少なくない。ただし男性は今世紀に入ってから比率がおおよそ漸減しており、切り詰めの対象としていることが分かる。

一方、「住居」の割合が大きく増加しているのも確認できる。一般に「家賃は収入の2割から3割が家計のバランス的に優れている」と言われている。今グラフの割合は「消費支出」であり、「収入」ではない(収入は今件消費支出以外に、税金などの非消費支出や貯蓄などにも割り振られる)ことを合わせて考えると、実際の対収入比率はもう少し下がるが、負担が大きくなりつつあることに変わりはない。

また、女性に比べて男性の方が「食料」の割合が大きく、また経年による減少率も大きい(2014年以降は増加しているが)。これは単身若年男性は外食に頼る面が多く、同時に切り詰めの対象として筆頭に挙げられているからだと考えられる。

元々女性はセキュリティなどに気を使う必要があるため、どうしても家賃そのものが高い傾向となる。そして男性よりも実収入は低いため、結果として消費支出における住居費の割合が高いものになってしまう。そのような実情の中で、女性の住居費比率が減り、男性とさほど変わらない状況となりつつあるのは、憂慮すべき動きといえる(直近2019年では男女でさほど変わらない割合となった)。

なお直近の2019年では男女とも、消費支出の1/4以上が住居費で占められる結果に。家賃などは半ば固定費でもあり、節約することは難しく、他の消費項目と比べても家計に対するプレッシャーは大きい。税金や保険と同じようなものとの認識もあながち間違っていない。お財布事情の厳しさは察するに余りあるといえよう。

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※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。