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VRヘッドセットは1910万台の出荷…世界のスマートスピーカーやAR・VRの市場規模実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 未来のコンシェルジェ的な存在のスマートスピーカー。その市場動向は。(写真:アフロ)

新技術を用いた新しい商品として注目を集めているスマートスピーカーや、ARやVRと呼ばれる疑似現実技術による商品。その市場規模の実情を、総務省が2021年7月に公開した、2021年版となる最新の「情報通信白書」の内容から確認する。

最初に示すのは、世界のスマートスピーカーのスマートフォンの市場規模。2020年までが確定値で2021年以降は予想値。データの一次ソースはイギリスに本社を置く情報事業の多国籍企業Informa社のハイテク関連産業調査部門Omdia。今件はあくまでも市場規模≒出荷台数で、該当年に出荷された台数であり、その時点で利用されている台数ではない。

↑ 世界のスマートスピーカー市場規模(2021年以降は予想値、億台)
↑ 世界のスマートスピーカー市場規模(2021年以降は予想値、億台)

IT系企業の大手がスマートスピーカーの展開を始めたのは、2014年のアマゾンによる「Amazon Echo」がきっかけ。現在ではアマゾン以外にグーグル、アップル、マイクロソフト、ソニー、LINEなどがそれぞれ独自のスマートスピーカーを展開している。単純に利便性の提供だけでなく、利用者の生活の囲い込みをすることで多様なデータの取得、そして経済活動そのものを掌握できることから、期待は非常に大きなものと思われる。

2023年における予想値は年間2.9億台。2020年時点の1.5億台の2倍近く。あるいはこれすらも、まだ甘い予想かもしれない。

続いてARやVRと呼ばれる疑似現実技術関連市場。似ているようで別物だが、説明すると次の通り。

・AR…Augmented Reality(拡張現実)

現実世界の情報に仮想情報を加えて反映させていくもの。メインは現実世界の情報。「ポケモンGO」が好例。アニメではARの概念がよく分かるものとして「電脳コイル」が知られている。

・VR…Virtual Reality(仮想現実)

コンピューターなどを用いて疑似的な仮想空間を生成し、利用者がその空間に存在しているかのような体験をさせる技術。HMD(Head Mounted Display、ヘッドマウントディスプレイ)が使われることが多い。

ARとVRとではVRの方が利用者ベースでの利用ツールが多くなり支出額が大きくなる。今件データではARとVRを合わせた市場として実測・予想している。

↑ 世界のAR/VR市場規模・VRヘッドセット出荷台数(2021年以降は予想値、億ドル・百万台)
↑ 世界のAR/VR市場規模・VRヘッドセット出荷台数(2021年以降は予想値、億ドル・百万台)

AR/VRハードウェア出荷台数が2019年にかけて減少する動きを示しているが、これについて白書側では「VRゲームに多数のベンダーが参入したものの、市場で淘汰が進んだことにより、2019年にかけて出荷台数が減少」と説明している。もっとも2020年以降は増加に転じ、2023年では3820万台に達すると予想している。

白書では「消費者向けのエンターテインメント向け以外でも、企業で利用が広がっており、例えば、不動産分野で物件を、旅行分野で旅先を疑似体験するもののほか、他の分野でも訓練や教育、3次元空間でのナビゲーションなどに活用されている」とし、単にエンターテインメント部門だけでなく実用部門でも実績をあげ、今後も領域を拡大していくことが期待できると記されている。

スマートスピーカーやAR/VRハードウェアの市場規模の広がりとともに、どのような世界が展開されるのか、今後が楽しみな話ではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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