8月29日は全国焼肉協会によって焼肉の日と定められている。月日の読み方と「焼肉」との語呂合わせに由来した記念日であり、焼肉を食べて夏バテを防いでほしいという思いが込められているそうな(【8月29日。今日は焼肉の日】)。そこで今回はこの記念日にちなんで、外食での焼肉は一体どれだけ食べられているのか、総務省統計局の家計調査などのデータを見ていきたい。

家計調査の対象品目をみると、外食での焼肉に該当するのは「焼肉(外食)」だが、言葉の定義は次の通りとなる。

自宅で購入した精肉を焼いて食べることも焼肉と呼ぶが、この記事では外食における焼肉のデータを見ていきたい。

まずは焼肉(外食)業界の売上推移。こちらは経済産業省の経済構造実態調査の結果を用いている。またこの調査は2019年から開始されたため、現時点では2年分の値しかない。

直近2020年では7435.1億円。前年2019年の7197.3億円からはプラス3.3％という成長。このコロナ禍の中でも大したものに違いない。

続いて日本フードサービス協会が発表している外食産業の売上動向から。こちらは前年比のみの公開となっている。比較のため外食産業全体の動向もグラフに反映させる。

外食産業全体と比べ、焼肉(外食)は常に高い売上高の伸び率を示している。焼肉(外食)が成長株的なコメントを、日本フードサービス協会の発表している外食産業の月次売上動向内でしているのも理解はできる。他方2020年はさすがにコロナ禍の影響で、焼肉(外食)も売上高を前年比でマイナス10.9％を記録し、記録のある中では初めて前年比マイナスとなってしまった。もっとも外食産業全体ではマイナス15.1％なのだから、まだ穏やかな落ち込みには違いない。

それでは焼肉(外食)の支出金額は昔も今も変わりないものだったのだろうか。家計調査の総世帯で継続する形でのデータが取得できる2015年以降の動向を確認したのが次のグラフ。

企業の売上や業界の売上高がおおよそ漸増していることもあり、世帯ベースでの支出金額は増加傾向にある。もっとも2019年はいくぶんの落ち込みを見せ、直近年となる2020年はコロナ禍によるものと思われる大きな減少を示してしまった。

続いて月単位での焼肉(外食)への支出金額動向。家計調査で月単位のデータが取得できる二人以上世帯の最新分となる2020年の動向を確認する。

コロナ禍による影響(外出自粛、店側の営業自粛など)で3～5月にかけて大きな落ち込みを示しており、通常の状況での月単位での動向を確認し難い結果が出てしまっている。一応、年初は高い値を示しているようだが。

そこで直近前年となる2019年分を見たのが次のグラフ。

一番高い値を示しているのは8月の823円。2019年は猛暑という記録は無いので「暑いと焼肉(外食)が盛況になる」ということではなさそうだ。次いで12月、5月の順。グラフの動向を見ても、何らかの傾向は見出しにくい。やや強引に解釈すると人が集まる機会が多い年末、年度末や年度明けが多いような雰囲気もあるが、そのような時にイベント的に焼肉屋を利用するのかもしれない。8月ならばお盆休みで帰省時にというところだろう。

次に焼肉(外食)への支出金額の地域別動向。こちらは家計調査の総世帯の値を基に勘案している。

焼肉(外食)支出金額のトップは静岡県の9583円、次いで愛知県の9280円、山口県の8833円。ちなみに最低金額は沖縄県の1910円。トップの静岡県と比較すると1／5程度でしかない。静岡県の支出金額が高いのは、静岡県の黒毛和牛ブランド「しずおか和牛」が影響しているのだろうか。

地図化すると東海地方や九州・中国・四国にやや高めの値が出ているように見える。棒グラフではやはり静岡県やその周辺が群を抜いているのが目につく。

コロナ禍で他の外食産業同様大きな売上減を記録した焼肉(外食)だが、元々市場は大きな成長の可能性を見せている。ちょっとしたイベントやご褒美感覚で、焼肉店で外食をするというスタイルは、今後も広がりを見せるだろう。一部店舗で導入されているランチメニューもまた、焼肉(外食)の広まりに一役買うに違いない。

コロナ禍後の焼肉(外食)の動向が大いに気になるところだ。

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(注)グラフ中の「ppt」とは％ポイントを意味します。

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