「大人の目の届くところで」90.1%…ネットをしている9歳以下の子供達への安全対策
インターネットは多様な使い道ができる便利極まりないツールだが、同時に多分な危険性もはらんでいる。保護者は自分の子供のインターネット利用に対し、リスク回避のためにどのような取り組みをしているのだろうか。9歳以下の子供達の実情を内閣府が2021年3月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容から確認する。
次に示すのは子供が何らの端末でインターネットを利用している保護者において、どのような安全対策をしているかを尋ねた結果。複数回答形式のため、2つ以上を同時に実施している場合もある。
主要機種いずれにおいても、一番多くの人が実施しているのは「大人の目の届く範囲で使わせる」。今回対象とした機種ではいずれも9割前後。要は子供一人だけでインターネットを使わせることがないようにしているというもの。普段から注意をしておき、何かリスクが生じる可能性のある行動をしそうになったら、その時点で教え諭すのだろう。自動車教習における実地試験のようなものと考えればイメージはしやすい。
あるいは保護者が監視していること自身がプレッシャーとなり、問題行動をしづらくなる効果も期待できる。ただし実質的にはずっとべったりくっついているままは難しいので、保護者と同じ部屋で操作させる(いつでもチェックができる状況下におく)などがありがちなパターンだろうか。
次いで多いのは「利用する時間・場所などのルール設定」。取り決めをせずに自由に使わせていると、自制心に欠けている子供は寝食を忘れてインターネットに没頭しかねない。これは大人でもありうる話で、自制心が未熟な子供の場合は危険性も高くなる。ルールを定めるのは、同時にそのルールを破ったら何らかのペナルティが発生するのを意味するので、強い抑止力にもなる。
機種別の動向を見ると、大きな差異は無いように見えるが、画面が大きい機種の方が取り組み率が高いように見受けられる。スマートフォンよりはタブレット型端末、携帯ゲーム機よりは据置型ゲーム機の方が、値が高い項目が多いという次第。それだけできること、自由度が高いからだろう。
もっとも、インターネット接続テレビは今件機種の中では一番画面が大きいにもかかわらず、値は低め。これは環境的に、子供自身だけでなく家族の誰かが同席する形で利用することが多いからだと思われる。何かあってもすぐに対応でき、さらに存在だけで無言の圧力にもなるのだろう。実際「大人の目の届く範囲で使わせる」に関しては、インターネット接続テレビの91.9%は、スマートフォンの92.0%に次いで高い。つまり他の項目が半ば「大人の目の届く範囲で使わせる」の効用で包括されてしまっているというわけだ。
子供の立場から考えれば、保護者の監視下やさまざまな制限の上での利用は、少なからぬ窮屈さを覚えるかもしれない。その利用の中で、インターネットに関する常識や危険の察知の仕方、回避方法を学んでくれればよいのだが。
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※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書
今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2020年11月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年11月5日から12月13日にかけて行われたもので、保護者に対して子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2247人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ300人、83人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。
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