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小中高校生の趣味や娯楽のインターネット利用状況(2021年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ インターネットは趣味や娯楽の手段として大変有益なもの。(写真:Paylessimages/イメージマート)

子供にとってインターネットは趣味や娯楽の手段として大変有益なものに違いない。その利用実情をNHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査(※)の報告書を基に確認する。

今件で対象とする趣味や娯楽の手段としてのインターネットの利用に該当する調査対象項目の「趣味・娯楽・教養を目的としたインターネットの利用」とは、具体的には「ホームページ・ブログを見る、作成する」「掲示板やSNSを見る、書き込む」「動画を見る」「ネットオークション・オンラインゲームをする」が該当する。仕事や学業、家事目的のネット利用は該当しない(それぞれそれらの行動としてカウントされる)。また電子メールの読み書き、インターネットを用いた家族・友人・知人とのやり取りは「会話・交際」として区分されている。さらにインターネット上の動画視聴については別途「インターネット動画」との項目が用意されているため、今件では除外される。

他方行為を行う機器の制限は特にないため、パソコンだけでなく従来型携帯電話やスマートフォン、タブレット型端末、インターネットテレビ、家庭用ゲーム機なども該当する。

次に示すのは平日の行為者率。日曜のグラフと縦軸の区分を合わせ、比較が容易にできるようにしている。

↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(動画除く、平日、学校種類別)(2020年)
↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(動画除く、平日、学校種類別)(2020年)

深夜時間帯では小学生はほぼ全員が寝ているためゼロ%からずっと動かないが、中高生は一部値を示しており、特に高校生は一部が平日から深夜ゼロ時以降でも起きて趣味などにおけるインターネット利用をしているのが分かる。そして早朝から利用し始めるのも高校生が最初。高校生に限れば午前5時過ぎに利用し始め、朝食時間帯やその直後ぐらいまでは使い続けている。朝食の前後、あるいは部活動などで早く学校に足を運んでいる人が利用しているのだろうか。

日中はほとんどゼロ%。就学中だから当然だが、中高生はいくぶんの値が確認できる。学校に持ち込んだスマートフォンを休み時間に利用している状況かもしれない。夕方になると小学生はようやく値が出始めるが低いまま、中高生は同じように増えるが夕食時間帯までは高校生よりもむしろ中学生の方が高い値となる。そして夕食時間帯後は小中高校生ともに上昇するが小学生は早々と値を落とし(就寝時間が早いためだろう)、中学生よりも高校生の方が高い値を示すようになる。中学生は23時になると値が急落するが、高校生は高いままで維持し、夜更かしをしてインターネットを利用していることが分かる。

続いて日曜の状況。

↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(動画除く、日曜、学校種類別)(2020年)
↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(動画除く、日曜、学校種類別)(2020年)

小学生では深夜帯はゼロ%だが、中学生・高校生は数%の値を維持している。中には早起きをしている人も含まれているだろうが、少なくない人が午前2時過ぎまで起きてインターネットを利用しているのが分かる。これは土曜の夜からの継続の動きで、日曜は寝坊しても遅刻することはないための夜更かしに違いない。

平日に見受けられた朝食時間帯時のピークの類は見当たらず、じわりと上昇する一方。昼食時間帯は高校生で値がやや減るが、昼食時間帯以降はさらに値を上乗せしていく。

中学生は翌日平日であることから、夜の下落への動きは早め。しかし高校生は深夜ゼロ時に至っても10%近くの値を維持している。平日のグラフの動きは月曜から金曜までの平均値で、月曜がどのような形を示しているかまでは分からないが、恐らくは平日の平均よりも夜更かしをする人が多いものと思われる。当然、月曜の朝は寝起きが辛いものとなるだろう。

「国民生活時間調査」は生活様式全般の動向を精査するのが目的で、インターネットの利用はその一要素でしかないため、電子メールを使っても「会話・交際」に区分されてしまうなど、インターネット関連に限った動向を知るのには、少々惜しい、物足りない部分もある。

しかし今件だけでも十分以上に、累計時間はともかく各時間帯の利用状況が把握しにくい小中高校生のネット事情を掌握することはできる。次の調査となる5年後には、恐らく小学生の間にもスマートフォンなどのネット端末が普及し、各値は大きく伸びていることだろう。ライフスタイルにいかなる変化が生じるのか、興味は尽きるところがない。

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※2020年国民生活時間調査

住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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