任天堂のゲーム機の販売動向推移をさぐる(2021年公開版)

↑ 携帯型のゲーム機に夢中。販売実績の実情は。(写真:アフロ)

最新の累計販売台数

家庭用ゲーム機業界において絶大な威厳と実力を誇る任天堂。その任天堂発のゲーム機に関し、同社の公開資料をもとに、その販売動向の精査を行うことにする。今回は主要ハード編とし、ハードウェアにスポットライトを当てることにしよう。

まずは現在公開されている最新値となる、2021年3月末時点の累計ハード販売実績。据置型は次の通り。なお以下の値は累積販売台数で、現在稼働台数ではないことに注意。またNintendo Switch Liteは仕様的には携帯型ゲーム機だが、据置型ゲーム機Nintendo Switchの廉価モデルであることや、公開資料の上ではNintendo Switchの1バージョンとして扱われているため、据置型ゲーム機としてグラフに反映する。

↑ 任天堂ハード・累計販売実績(据置型、万台)(2021年3月末時点)
↑ 任天堂ハード・累計販売実績(据置型、万台)(2021年3月末時点)

意外なのは稀代の名ゲーム機ファミリーコンピュータ(ファミコン)以上に、Wiiが売れていること。日本国内で限定すればファミリーコンピュータの方が上だが、全世界で計算するとほぼ6割増しでWiiの累積販売台数が多い。

また、横軸は左から右へ行くほど販売された年代が新しいものとして配置しているが、ファミリーコンピュータの販売以降スーパーファミコンも合わせ、ハードの販売台数が漸減していたのが分かる。ハードの台数がソフトの売れ行きに大きく影響する事実を考えれば、Wiiの直前まで「据置型ハードでは」任天堂が苦戦を強いられていたのが見て取れる。

なお一番右、つまり一番新しいNintendo Switchは現時点ですでに日本のみ・全世界双方ともに、前世代機であるWii Uの実績を抜いている。さらにはニンテンドーゲームキューブ、ニンテンドウ64、スーパーファミコン、さらにはファミリーコンピュータすら超えた値を示している。日本のみの値に限ればWiiすら超えている。Nintendo Switchの勢いの実態が改めて認識できる。

続いて携帯型。

↑ 任天堂ハード・累計販売実績(携帯型、万台)(2021年3月末時点)
↑ 任天堂ハード・累計販売実績(携帯型、万台)(2021年3月末時点)

ニンテンドーDSと3DSは何度かマイナーバージョンアップが行われているため、そのうち「Lite」「DSi」「DSiLL」、「3DS LL」「2DS」「New 3DS」「New 3DS LL」「New 2DS LL」は別途数字を掲載している。ゲームボーイやニンテンドーDSの市場がいかに大きいか、そしてニンテンドー3DSへの期待がどれほどのものだったのかがすけて見える。

単年と累計の経年変化

以上は「累計」販売台数の状況だが、これを日本国内に限定した上で、「年次」の販売推移で見たのが次のグラフ。要は毎年どれくらいの数のハードが販売されたかを見たものである。例えばNintendo Switchなら2021年3月末期(2020年4月~2021年3月)は660万台となる。

↑ 任天堂・国内ハード販売動向(日本国内、年次、万台)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(日本国内、年次、万台)

↑ 任天堂・国内ハード販売動向(日本国内、累計、万台)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(日本国内、累計、万台)

ゲームキューブやWii Uのような例外もあるが、任天堂のハードはおおよそ発売2年目から3年目に年次セールスのピークを迎え、後は漸減する流れを見せている。これは任天堂に限らず他のハードにも当てはまることで、よほどのテコ入れや状況の変化が無い限り、発売後しばらくしてから盛り返すことは考えにくい。

また、少なくとも年間1万台以上のセールスを打ち出すまでが「商品生存期間」と想定すると、大体6年から7年がハード上の寿命(累計グラフでほぼ横ばいになったあたりが「寿命」といえる)であることが予想できる。

ただし昨今は技術開発速度や娯楽上の競合他メディア(現状ならばスマートフォンなどの携帯電話)の進歩発展スピードの加速化に伴い、この「6年から7年」が縮小する傾向がある。一方で最近のハードではニンテンドー3DSの「寿命」が2021年3月末期あたりと判断できるが、かなり長持ちした方ではある(発売開始から10年目までは年間1万台以上のセールスが確認できている)。

他方Wii Uはゲームキューブと似たような動向を示していたが、2016年3月末期では大きく盛り返した。これは多分に社会現象まで巻き起こしたソフト「スプラトゥーン」によるところが大きいと考えれば道理は通る。ただしそれに続く、ハードのセールスを後押しするタイトルが無かったため、次年の2017年3月末期では大きく落ち込み、それ以降は累計台数の上乗せは確認できない。

Nintendo Switchの初年度台数は60万台、そして378万台、385万台、521万台と続き、そして直近年度では660万台とさらに台数を上乗せした。過去のハードの販売動向には見られない傾向で、販売から5年目で年次セールスの最大値を示している。携帯型ゲーム機的なNintendo Switch Liteの値も内包していること、そして新型コロナウイルスの流行による巣ごもり傾向が勢いを後押ししたのだろう。

任天堂では2022年3月末期における全世界でのNintendo Switchのセールス予想を2550万台としているが(任天堂の直近決算発表資料より)、これは2021年3月末期の実績2883万台を下回っている。恐らくは任天堂自身もNintendo Switchのピークは発売5年目となる2021年3月末期と見定めたのだろう。

過去のハードの発売時の環境と異なり、現在では携帯電話、さらにはタブレット型端末の躍進による、市場の「食い合い」が生じている。100%領域が重なっているわけではないが、多分に共通する部分は多く、影響が無いことはありえない。人の時間は一人当たり1日24時間しかない。スマートフォンで遊びながら携帯ゲーム機でも同時に遊ぶマルチタスクな曲芸は、ほとんどの人には不可能である。

日本国内で年間1万台以上の台数増加が示されているのは、現時点ではNintendo Switchのみ。Nintendo Switchが今後どこまで躍進するのか、今後も推移を見守っていきたい。

■関連記事:

【任天堂、Wiiの他社ソフト低迷について「制作に時間がかかる」「新ハードに慣れていない」と分析】

【エンタメ誌の実情は…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向をさぐる(2020年10~12月)】

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。