直接税と社会保険料の世帯への負担の実情をさぐる(2021年公開版)

↑ 税金や社会保険料の負担はいつも頭を悩ませる存在。(写真:miya227/イメージマート)

入ってくるお金と出ていくお金。働き手がいる世帯に関するお金の出入りの実情を総務省統計局の家計調査の結果から確認する。

次に示すのは総世帯(単身世帯と二人以上世帯の合算。要は全部の世帯)のうち勤労者世帯(※)の実収入と、非消費支出、可処分所得を算出したもの。平均世帯人員は2.57人・世帯主平均年齢は47.6歳(2020年時点)。実収入は1年に得た各種収入(世帯主と配偶者収入)の合計を12で割った、つまり世帯単位での一か月の平均値。ボーナスなどは月単位で分散加算されている。宝くじや保険金、退職金などの特殊事情による収入は除外している。さらに実収入は非消費支出(税金や社会保険料)と可処分所得(自由に使えるお金)に分けられる。具体的な収入・支出の関係は次の通り。

・(実)収入……世帯主の収入(月収+ボーナス臨時収入)+配偶者収入など

・支出……消費支出(世帯を維持していくために必要な支出)

     +非消費支出(税金・社会保険料など)

     +黒字分(投資や貯金など)

       (※可処分所得=消費支出+黒字分)

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、円)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得(総世帯のうち勤労者世帯、円)

データが取得できる最古の値となる2000年をピークに減り続けた実収入だが、2005年を底値に上昇の兆しが見えていた。しかしリーマンショックの翌年に当たる2009年で大きく下落。以降は小刻みな上下を繰り返しながら、低迷を続けている。もっとも2011年を底値とし、おおよそ少しずつながらも回復の動きを示している(2016年には大きな下落があったが)。2020年の可処分所得は43万1992円で、前年比はプラス1万5012円、前世紀末の2000年の値と比べると2654円の増加となる。

これらの動向、実状がより分かりやすくなるのが次のグラフ。実収入に占める非消費支出、つまり税金や社会保険料の割合の変化を示したものだが、実収入が減少を続けた2004~2005年までが横ばいだったのに対し、2006年から急激に割合を増やしているのが確認できる。2013年以降はほぼ横ばいの推移に移行したようだ。

↑ 実収入に占める非消費支出比率(総世帯のうち勤労者世帯)
↑ 実収入に占める非消費支出比率(総世帯のうち勤労者世帯)

↑ 実収入に占める税金・社会保険料比率(総世帯のうち勤労者世帯)
↑ 実収入に占める税金・社会保険料比率(総世帯のうち勤労者世帯)

累進課税や上限値などがあるため完全な比例関係にはないが、一般的に収入が増えればその分税金や社会保険料も増加する。額が増えても収入に占める割合そのものはそれなりに定率になるはずなのだが(極端な値を示す世帯は少数に過ぎない)、この数年においては「平均的なモデルの世帯では」公租公課の負担比率が増えている。2000~2005年までの安定期と比べると数%ポイントの増加。この上昇分が、「実収入が増えても使えるお金が増えない、生活が楽にならない」、さらには「実収入が減った以上に生活が厳しいように思える」のような事態を招く主要因となっている。特に2008年以降は実収入の減少もあり、直接税が占める比率は横ばいな一方で、それ以上に社会保険(額・)比率が増加の一途をたどり、結果として非消費支出が増えているのが分かる。

金額面からも明らかだが、非消費支出の増加は実質的に社会保険料の増加によるところが分かる。世帯あたりの社会保険料の額、比率が中長期的に増加しているのは、他の多数の記事で言及している通り、ひとえに社会構造の高齢化に伴う医療をはじめとした社会保障負担の増加が主要因。医療技術の発達に伴うコストの増加もあるが、高齢化の影響に比べれば微々たるものである。

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※勤労者世帯

厳密には世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている世帯を指す。役員や個人経営者、農林漁業従事者、自由業者、そして無職(年金生活者など)などは該当しない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。